ボウリング場の直営は失敗したが、建築の見本となり、長沼町始め、多くの自治体との建築でのお付き合いにつながった。

会社経営にリスクはつきもの

経営にリスクはつきものだ。ただし博打とは違うので、挑戦をするときには最悪のシナリオでも、会社経営の根幹に影響のない程度の規模に抑えて思い切るのだという。西出の多角経営で唯一失敗したと言えるのは娯楽分野。ボウリング場の経営だった。赤平で作り「まあよせばいいのに長沼で直営して3年で閉鎖しました」と笑う。数億の規模の投資で、決して少ない額ではない。しかし、長沼に進出した農機具メーカーに倉庫として転売するなど、回収にもその力を注ぐいだ。しかし、西出はここで終わらない。

事業は失敗したが、建物は素晴らしかった

長沼に作ったボウリング場は、レーンとコンコースを人の動線、くつろぎに合わせ、空間を段差などで区切り、高級なホテルはコンサートホールのホワイエを目指す作りだった。これが、多くの事業者の目に止まり、全道から同じ仕様で建築の依頼が舞い込む。一方で、長沼町との信頼関係ができあがり、大切な仕事に札を投じる機会が増えた。結果として、学校などの公共施設を扱う会社として、建築部門が大きく成長する。さらに、高圧ガスの販売の拠点ができあがり、ビジネスが新たに展開する基盤が、この長沼町との未来を切り開くことになった。赤平を基盤にしつつも、札幌をはじめ全道に打ってでる勇気を長沼で養うことになった。