タイトルの「谷櫃温泉」は誤りで、「矢櫃温泉」が正しいです(10月13日追記)。

厚沢部町字城丘にある「矢櫃温泉」(分類上は冷鉱泉)は知る人ぞ知る究極の秘湯です。城丘江差線を東へ進み南館町を過ぎて糠野川を渡り、城丘集落を抜けたところ、落合橋を越えて右手の林道に入ります。林道を車で10分ほど行くと温泉の湧き出ているところに到着します。

現地には館観光促進会による看板が設置されており、適応症としてうちみ、切り傷、冷え性、五十肩などが記載されています。泉質は「単純硫黄冷鉱泉」とされています。成分は陽イオンでナトリウム216mg、マグネシウム11.5mg、カルシウム17.0mg、陰イオンで炭酸水素561mg、硫酸79.1mg、塩素23.2mgとなっています。

矢櫃温泉がいつから知られるようになったのかははっきりしませんが、夏原茂樹氏(江差町在住)から教えていただいた資料によると大正5年2月1日付で江差町大字豊部内町の夏原律太郎さんから厚沢部村大字館村字矢櫃の鉱泉地一坪の貸付願書が檜山支庁長あてに提出されていますので、この頃には温泉地として知られていたと考えられます。なお、温泉地貸付の許可は大正7年1月9日付でなされています。

大正6年12月15日に夏原律太郎の依頼により江差町大字姥神町の辻薬局が温泉成分の分析を行っています。成分分析書によると重要成分は次のとおりです。

  • クロールナトリウム(塩化ナトリウム) 多量
  • 硫酸カルチウム 少量
  • 重炭酸(?)カルシウム 少量
  • 硫酸マグネシウム 少量
  • 珪酸アルミニューム 少量


特記事項として「切疵、打撲、皮膚病、婦人病ニ特効アリト云ウ」とされています。切傷や皮膚病などの効能は硫黄泉の特徴ですから納得がいきます。

夏原律太郎さんは大正7年から5年間の期限で年間4銭の賃借契約により温泉地を所有し、5年を経過した大正12年にも契約更新を行い、大正15年までの3ヵ年を延長したようです。しかし、契約更新から1年後の大正13年4月に厚沢部村大字館村字轆轤場(現厚沢部町館町)の川股丑蔵さんに温泉地の賃貸契約を譲渡する旨を札幌税務監督局へ願い出ています。

夏原律太郎さんは大正7年から5年間の期限で年間4銭の賃借契約により温泉地を所有し、5年を経過した大正12年にも契約更新を行い、大正15年までの3ヵ年を延長したようです。しかし、契約更新から1年後の大正13年4月に厚沢部村大字館村字轆轤場(現厚沢部町館町)の川股丑蔵さんに温泉地の賃貸契約を譲渡する旨を札幌税務監督局へ願い出ています。


 

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矢櫃温泉訪問

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2018年10月13日(土)11時から12時。南館市街地を抜けてひたすら道なりに進みます。途中で館城跡へ向かう分岐がありますが、ひたすら道なりに右へ進みます。

「落合橋」が矢櫃温泉へ向かう林道の目印です。落合橋をわたって写真の奥にある青い屋根の納屋のところに林道の入り口が有ります。

 

 

林道を少し進むと突き当たります。ここは丁寧な看板があるので迷うことはないでしょう。迷わず左へ進みます。矢櫃温泉はこの分岐から約1.5kmです。

 

いくつか右の方へ上がっていく林道がありますが、惑わされずひたすら道なりに進みます。

 

林道が大きく左にカーブしている右側に小屋と看板があります。ここが矢櫃温泉です。車を降りると硫黄の匂いが充満しています。

 

遠くからみるとチョロチョロとしか湧いていないようですが、近くによってみると水量は豊富です。手と顔を洗うとなんだかすべすべヌルヌルします。

 

館観光促進会さんが設置した看板があります。道が行った成分分析の結果も表示してあります。典型的な硫黄泉ですね。筋肉系の痛みや外傷、糖尿病、消化器、冷え性などに効能があるそうです。「万病に効く」という感じですね。硫黄臭がすごいので、たしかに効果はありそうです。

 

硫黄泉特有の黄灰白色に流路が染まっています。

 

50mほど奥に湯元があります。写真奥の土管からパイプでお湯を引いています。