「佐久間町(さくまちょう)」の町名は、かつて佐久間平八(さくまへいはち)という材木商が住んでいたことに由来するとされています。商人の名がそのまま町名になっていることからもわかるとおり、この界隈(かいわい)はとりわけ江戸商業の発達史にゆかりの深い場所でした。 

 神田佐久間町一丁目(かんださくまちょういっちょうめ)の商人のなかで、とくに目立ったのは材木問屋でした。あまりに多くの材木問屋が集まっていたため、材木商たちの間では神田材木町(かんだざいもくちょう)という通称で呼ばれていたといいます。そのほか町内には、薪(たきぎ)や炭(すみ)を扱う業者も多かったようです。