御坊の子守唄 について知っていることをぜひ教えてください

◎子守唄

一)御坊よいとこ住みよい所

 金は出来るし人は善し(御坊)

二)御坊東町箒はいらぬ

 大御堂まいりの裾ではく(御坊)

三)鳥も通わぬ八丈ケ島へ

 日高喜太夫船流された(御坊)

四)日高川には蛇があるそうな

 大きな蛇じやそうな偽じやそな(御坊)

五)昔安珍日高の川で

 命とられた清姫に(湯川)

 酒屋三軒油屋五軒

 光輝く御坊の町

・日高川には二いろござる

 思いきる瀬ときらぬ瀬と(中山路)

 来いよ来いよと日高の川で

・舟子呼んだの清姫さんか

 なぜに此の橋渡られぬ(野口)

・和田の入山こんこの雪駄

 裏も表もみなかわじや(松原)

・田井で油屋入山峠

 小池白井さん西の関(和田)

・三尾のうるめに若野の卵

 野口牛募に和田大根(和田)

・逢いはせなんだか御崎の沖で

 わらで垣した小いさばに(和田)

・私の兄さん御崎の沖で

 潮にもまれて鰹釣る(比井崎)

・行たら見てこら唐子の寺の

 いばら牡丹の咲きわけを

・愛想尽野の小寄講は

 五文させとは公文言うたか(比井崎)

・比井は舟どこ阿尾浦漁どこ

 中の産湯は百姓どこ(比井崎)

・比井へはいろか小浦へ寄うか

 思案半ばの中出磯(比井崎)

・比井の娘はねぶかの育ち

 中は空でも身をやつす(比井崎)

・松になりたいかぶとの松に

 上り舟をば見て暮す(比井崎)

・小浦円行寺箒はいらぬ

 塩屋お長さが裾ではく(比井崎)

・雨は降りそな夕立は来そな

 由良の開山流れそな(御坊)

・雨は降りそな夕立は来そな

 和佐の開山流れそな(御坊)

・由良の開山若し流れたら

 私こちらで拾てやら(御坊)

・雨は降りそな夕立は来そな

 御坊の大御堂は流れそな(由良)

・音に名高い日高の大工

 由良の開山建てかねた由良)

・由良の開山建てかねせまい

 御坊の大御堂建てたもの由良)

・門前の肥取りえらいもんじや

 担桶片荷に柴片荷由良)

・戸津井よいとこ十九島うけて

 前に泉水かかり舟(衣奈)

・松瀬松茸名田目の九州

 三尾川男に衣奈女郎紫(衣奈)

・怖い恐ろしい小池の犬は

 知らぬ私に吼えに来る(和田)

・私等若い時有田へ越えた

 知らぬ鹿瀬夜で越えた(東内原)

・同じ入間に生るるならば

 池田女や原男(東内原)

・小石川さん池田の角力で

 御目の舞うほど投げられた(野口、湯川)

・財部通れば空見ておいで

 花の丸山星月夜(湯川)

・田井や財部の精のない祭

 お鮨くわえて井戸のぞく

・兄貴しっかりして金庫たてて

 島の在所に負けぬよに(湯川)

・小池極楽入山地獄

 花の丸山御所どころ(和田)

・大工さんなら闇うてもおいで

 花の丸山星月夜(矢田)

・小松原には丹那衆五軒

 酒屋三軒寺二軒(湯川)

・吉田通れば雪隠から招く

 而も片手に藁さげて(御坊)

・藤井で十兵衛はん天神で紹屋

 島で彦平はん西の関(御坊)

・ここは小松原この先天神

 もうまた津井切藤吉田(藤田)

・思や九品寺気はほうれん寺

 こころ吉田の万楽寺(藤田)

・藤井通れば念仏申せ

 藤井の若者人殺す(藤田)

・金をまかぬに鐘巻道成寺

 松を植えぬに小松原(矢田)

・鳶山から熊野谷見れば

 はだか馬かよくらがない(野口)

・お前どこなら私紀州日高

 日高どこなら岩内じや(野ロ)

・天田岩内神森野口

 金屋越えたら和佐江川(野口)

・小さい松瀬に過ぎたるものは

 酒屋三軒寺二軒(丹生)

・山間なれども山野は都

 三味や太鼓の音絶えぬ(丹生)

・高い山から吉川を見れば

 はだか馬かよくらがない(早蘇)

・参りたいぞよ小山の権現

 有田日高を見下した(矢田)

・こんど来る折持て来ておくれ

 三百瀬密柑の枝折を早蘇)

・有田山見りや密柑が恋し

 日高山見りや楊梅恋し(船着)

・何というても船津は港

 出船入船五十五はい(船着)

・船津高津尾並びの在所

 前に黒島中よこで(船着)

・馬は物言た姉子の馬は

 株井上下を厭と言た(船着)

・何ぽ出しても聞こらよ殿さ

 三十木矢之助打つ鼓(船着)

・佐井の鳴瀧山路の桧皮

 筏のりこそ見て通れ(川中)

・何というても阪の川都

 七つ下れば市がある(川中)

・何と言うても老星や都

 七つ下れば三味の音(川中)

・寒川どのは秋の夜の螢

 時々川の瀬に光る(寒川)

・とろりとろりと馬追、いかけて

 明日は行ぎます串本へ(早蘇)

・山路女郎衆に上げたいものは

 田辺煙草に椿しば(川上)

・何というても山路は都

 三味や太鼓で遊芸する(中山路)

・西の念仏安井の口説

 東浄瑠璃面白い

・何というても東は都

 三味や太鼓の音絶えぬ(上山路)

・筏乗りさん山路の奥で

 姫にひかれて袖落ちた(寒川)

・私は嬉しやちよんかけ習て

 行こや大和の国境(塩屋)

・山の保田の弥助さん

 山でいつも木挽の絶えがない(中山路)

・山間なれども湯本は都

 京や大阪の人が来る(龍神)

・私のお父ちやん田辺で巡査

 月給八円飯食えぬ(早蘇)

・先生何所行ぎや生徒をつれて

 南部学校へ試験しに(清川)

・お前ええわら学校の先生

 いつも袴に蠕幅傘(御坊、真妻)

・行たら見てこら南部の寺の

 いばら牡丹の咲きわけを(清川)

・芳養で八幡南部で鹿島

 東本庄で一の宮(上南部)

・椿坂には尾のない狐

 私等二三度だまされた(南部)

・埴田堺は並びの在所

 椿小坂が無けりやよい(南部)

・埴田女郎衆は牛募の煮しめ

 色が黒ても味がよい(南部)

・面白いそや南部の鹿島

 地から生えたか浮島か(南部)

・行たら見て来ら南部の鹿島

 地から生えたか浮島か(南部)

・南部の浦の鹿島さま

 裏へ廻れば瀧の口(南部)

・歌の出所は切目の羽六

 書いて流すは宮の前(切目川)

・真妻山から沖見渡せば

 塩屋権兵衛さん網を曳く(塩谷)

・高い山から堺を見れば

 痩せた親爺が沼返す(南部)

・印南港なら当百ととか

 ほんにお前でも男かよ(御坊)

・怖い恐ろし印南の港

 時化もないのに船しもた(南部)

・私はなりたい畑野の松に

 上り下りを見て暮す(印南)

・面白いそや名田目の道は

 楠井通れば津井通る(御坊)

・私葉山から沖見渡せぱ

 波間に躍るよ鰹島(名田)

・塩屋抜戸広芝野島

 加尾や上野や楠井や津井や(名田)

・一に鰹島二に権現磯

 三に尾崎下り松(塩屋)

・奉公するなら塩屋か御坊か

 但しや小熊の油屋か(塩屋)

・皆瀬片原崎の原都

 丹生は揺鉢松原摺木(真妻)

・この子寝たまま飴売り来たら

 安で買てやろ五文がな(御坊)

・守が憎いとて破傘くれて

 可愛い嬢はん雨ざらし(御坊)

・面白うはない後は山で

 前は広海鰹島(御坊)

・春は花咲く紫雲英の花が

 人にふまれて横に咲く(御坊)

・物を言やるな言や屑になる

 言わで包めぱ屑もない(御坊)

・鮎は瀬につく鳥や木にとまる

 人は情の下にすむ(御坊)

・親のない子は入日を拝む

 親は入日の真中に(御坊)

・親の無い子を見るたび思う

 親は生きたる神ほとけ(御坊)

・可愛い子には旅させ親よ

 憂いもつらいも旅で知る(御坊)

・思いがけないお寺が焼けて

 お住持いとしや丸焼けで(御坊)

・ねんね根来の御不動の山で

 年より来いよの鳩がなく(御坊)

・暗いてやかましよしわら雀

 暗けば野で喘け山で喘け(御坊)

・とんと十津川御赦免どころ

 年貢いらずのつくりどり(御坊)

・守というものなさけないものよ

 しぶき雨でも出にゃならぬ

・ねんねねんねん寝た子は可愛い

 起ぎて泣く子は面憎い(松原)

・ねんね寝距子に赤衣着せて

 ねんねせぬ子に縞の衣(松原)

・私の父さん天井のねずみ

 ひかにゃ食われぬ車ひき(松原)

・ねんねねんねとこれ程言うに

 何故に此の子は寝てくれぬ(松原)

・よいよよいよと与市兵衛さんに

 金をとられて殺されて(松原)

・来いよ来いよと小間物屋はん

 来たら見もする買いもする(松原)

・私のお父はん山へ行て遅い

 蜂にさされて寝てこんす(松原)

・山のちちろこは我が身を知らぬ

 高い空から身を投ぐる(松原)

・此の子守して賢う育て

 君のお役に立たせたい(藤田)

・私家の此の子は賢こて捌巧で

 りこで育てたお子じやもの(比井崎)

・私はお前に何よ言われても

 水に浮草根に持たぬ(比井崎)

・思て通えば五尺の雪も

 えらい霜じやと言て通う(和田)

・此所は紺屋か紺屋の門か

 藍の臭する染くさい(和田)

・鮨は酢で持て酢は鮨で持つ

 尾張菜飯は塩で持つ(和田)

・私が死んだら誰が泣いてくりよに

 山の烏と双親と(和田)

・寝たら丹波へ起きたら淡路へ

 お目が覚めたらお江戸まで(和田)

・上を思えば限りがないと

 下を見て咲く百合の花(和田)

・井戸の蛙とそしらばそしれ

 花も散り込む月もさす(和田)

・今の若衆手拭帯で

 帯はしまったか帯なしか(和田)

・私等知らぬけどお寺の屋根で

 猫が衣きてかねたたく(和田)

・どものならぬ奴死んだらわかる

 煙どっち行く西東(和田)

・私の心は郵便はがき

 隠し包みはしわせんよ(和田)

・守子々々と侮りよすな

 内へ帰ればお嬢さん(和田)

・お月天道さん黒雲たより

 私等二人の親たより(和田)

・私は嬉しよ正月来たら

 縞の布子に足袋添えて

・高い山から飛んで来る烏よ

 かねもないのにかあかあと(和田)

・子守子守と沢山そうに

 守も一役大人役

・江戸で帯買て大阪でくけて

 紀州和歌山結びさげ

・私の好ぎやん酒屋の庭の

 竹で帯したお樽さん(東内原)

・惚れた迷うたよ酒屋の庭の

 竹で帯したお樽さん(塩谷)

・坊主頭へ金柑載する

 載るか載らぬか載せて見よ(東内原)

・坊主頭へ蜻蛉がたかる

 坊主よろこぶ髭になる(東内原)

・医者どん頭へ雀がたかる

 たかる筈じやよ藪じやもの(東内原)

・私や嫌やあの痩男

 破れ障子の骨のような(東内原)

・破れ障子は貼ったらなおる

 痩せた男はなおりやせん(東内原)

・私嫌いや男守.きらい.

 尻ももたぬぶらぶらと(東内原)

・駿河屋通れば饅頭屋が招く

 饅頭食いたい金がない(東内原)

・姉と妹と揃いの蛇の目

 どちら姉やら妹やら(東内原)

・私のコップリ下駄誰にも貸すな

 鼻緒ばかりが二十五銭(東内原)

・二十五銭とは如何にも高い

 五銭まけよし気は心(東内原)

・あいつどこの奴日高の乞食

 飯もやりたい冷飯(東内原)

・貧乏貧乏と侮りよすな

 ごんど家も建ち倉も建つ(東内原)

・太鼓たたいて守子を寄せて

 標緻のよいのを嫁にする(東内原)

・姉は姉だけ縮緬たすき

 妹木綿のくけ樫(由良)

・面白いとて月ながめたら

 桂男に招かれた(由良)

・二人小さな篭おばさげて

 姉と妹と土筆つむ(由良)

・私等谷水出所を出たが

 岩にせかれて落ちられぬ(由良)

・私の思はあの北山の

 落つる松葉の数よりも(由良)

・殿が殿なら私やどこまでも

 江戸や千島の果までも(由良)

・日にち毎日顔見た罰に

 今日は千里も隔てられ(由良)

・偬れてつまらぬ他国の人に

 末は鳥の泣ぎ別れ(由良)

・千里咲くほど繰緻よい桜

 落ちりや木の葉の下になる(由良)

・どんな竹でも七節八節

 江戸のお竹に竹がない(由良)

・高い高い階段高い

 六十二段の階段高い(由良)

・六十二段の階段よりも

 衣奈の八幡百二段(御坊)

・六十二段の階段よりも

 やばた八幡百二段(御坊)

・衣奈の八幡百二段よりも

 原の金比羅百七つ(由良)

・私等小さい時紹繰習て

 今もくるくる涎くる(由良)

・思い出しては今日は二十五日

 明日はこの子の誕生日(由良)

・あそこ来るのは娼婦か芸妓か

 赤い湯巻をちらちらと(白崎)

・私等小さい時三味ひき習て

 今もひくひく跛ひく(白崎)

・とんと蚕豆は炮烙の中で

 飛ぼか走うか腹切ろか(白崎)

・この子寝やして蒲団を着せて

 周囲たたいて針仕事(白崎)

・親はこの世の石炭油

 親のない子に光ない(白崎)

・守が楽じやとお母はん言けど

 守が楽ならして見よし(白崎)

・あの子厭らし私見て笑う

 私も見てやろ笑てやろ(白崎)

・あの子よい子じや標緻な子じや

 あの子育てた親見たい(白崎)

・あなた嫌でもまた好く人が

 無けりや私の身がたたぬ(白崎)

・旗がなこうが紅葉が散うが

 私あなたにあきが来ぬ(白崎)

・時鳥たしか帰いたと雨戸をあけて

 見れば今宵の月ばかり(白崎)

・なさけないわよ身は沖の舟

 何所へとりつく島もない(白崎)

・鶴の声すればあの車井戸

 かめに汲みこむ化粧の水(白崎)

・花咲いて散らぬものなら急ぎはせぬぞ

 悪いあらしの吹く故に(白崎)

・君と僕とは卵の中で

 僕が白身で君を巻く(白崎)

・世間知らねば歌ききなされ

 歌は世界の理をつめる(白崎)

・色が黒うても食べてみておくれ

 私が大和の吊柿(白崎)

・色の道から出て来た私

 色でしくじりや是非がない(白崎)

・色でしくじりや可愛てならぬ

 色は思案の外じやもの(白崎)

・羽織袴のへらとるよりも

 主の機嫌がとりにくい(白崎)

・盲人見つけていざりかけていたと

 唖者がいうた(白崎)

・花はいろいろ五色に咲けど

 主に見かえる花がない(白崎)

・鯉の瀧上り何というて上る

 水を恋しと言うて上る(湯川)

・坊さん山道破れた衣

 行けど戻れどぎにかかる(湯川)

・江戸へ江戸へと枯木を流す

 江戸で枯木に花咲かす(湯川)

・恋しく恋しく蝉よりも

 なかぬ螢は身をもやす(湯川)

・あなた泣いたとて私驚かぬ

 泣いて驚く私じやない(湯川)

・ねんねねぶの木朝早う起きよ

 七つ下れば一寸ねむる(湯川)

・一人来たのかあの山道を

 二人来ましたかげともに(湯川)

・春は御出でよ小春をつれて

 長い道中はるばると(湯川)

・桜三月あやめは五月

 夏の土用に咲くかきつばた(湯川)

・親の意見と茄子の花と

 千に一つのあだがない(湯川)

・三十過ぎての女に意見

 彼岸すぎての麦の肥(湯川)

・歌の出損い出直しなさい

 桔梗の花より美しょに

・桔梗の花より美しよう

 牡丹芍薬百合の花(湯川)

・江戸へ行きたい江戸へ行て見たい

 江戸の日暮し門見たい(湯川)

・親はどこじやと豆腐に聞けば

 親は畠でまめで居る(湯川)

・我が子可愛けりや守に餅食わせ

 守がこくれば子もこくる(湯川)

・とんと殿様今年は不作

 まげておくれよお任貢を(湯川)

・守というものしゃべらにゃならぬ

 こらえなされよ皆さんよ(湯川)

・私のお父さん大阪で乞食

 挟陶えて椀さげて(湯川)

・今夜此所へ寝て明日の晩何所へ

 明日は田の中あぜ枕(湯川)

・竹は切り様で節水たまる

 物は言い様で角が立つ(湯川)

・腹は立っても立つ顔せぬと

 胸で抑ゆりや人知らぬ(湯川)

・紀州和歌山目で見りや都

 住めば湯だまの立つ所(藤田)

・土佐の清水は恐ろし所

 人の油をしめてとる(藤田)

・お前いう鳥私きくの鳥

 山でからすがなくの鳥(藤田)

・金をたたいて仏にならば

 粉河鍛冶屋町皆ほとけ(藤田)

・紀州紀の川安楽川粉河

 中を流るる吉野川(塩屋)

・逢うな出逢うな粉河の人に

 逢えば二文の損をする(藤田)

・小石川さん角力とりやめて

 町で米屋をしよやないか(藤田)

・町で米屋をしてみたけれど

 買いに来もせぬ売れもせぬ(藤田)

・仕事するよな心のまちよな

 親に孝行な嫁ほしい(藤田)

・私らもう往ぬもう帰ります

 長のお世話になりました(矢田)

・この子よう泣く雲雀か鵯か

 鵯でごんせん子でごんす(矢田)

・私ら往にたいあの山越えて

 住んでお母はんの顔見たい(矢田)

・こんな所へなぜ来た知らぬ

 親が行くなと止めたのに(矢田)

・なさけない事皆かきとめて

 親に見せたら泣くだろう(矢田)

・私とお前と川端柳

 水の流れを見て暮す(矢田)

・私とお前と井戸場の石と

 乾く間がない暇がない(矢田)

・たとえ此の傘柄漏がしても

 此の子一人は濡らしやせぬ(矢田)

・私等きらいや秋守きらい

 晩につむるし朝はやし(矢田)

・私青梅かち落されて

 紫蘇と仲よし色づいた(矢田)

・思て来たのに水かけられて

 私の思を水にした(矢田)

・歌い盛りや歌われ盛り

 今は紫雲英の花盛り(矢田)

・私歌好き歌わにやならぬ

 歌で此の身が果つるとも(野口)

・今宵一夜は野で寝てなりと

 殿の行衛を尋ねたい(野口)

・今宵曇りてあす雨ふれば

 天の川をば渡らりよか(野口)

。私山行き破れた着物

 往きと戻りに木にかかる(野口)

・なさけないのはお前と私と

 川の瀬にすむ鵜の鳥と(野口)

・時は時節であきらめなさい

 やかた舟さえ大根つむ(野口)

・お前行くかよ私をばおいて

 後へ心は残らぬか(野口)

・後へ心は残りはすれど

 行かねばならぬ身でごんす(野口)

・行かにやならんぞ行てくるほどに

 後へ花おく枝折るな(野口)

・折りもせまいそ折らせもせぬぞ

 花の散らぬまに戻らんせ(野口)

・私家のこの子はもう寝るさかに

 誰もやかまし言わんすな(野口)

・誰もやかまし言えへんけれど

 隣のおばさん三味の音(矢田)

・歌は歌いがち道通りがち

 今度お寺へまいりがち(野口)

・私は梅の木下りし小枝

 殿は鶯来てとまる(野口)

・一人山道淋してならぬ

 声をかけてくれほととぎす(野口)

・声はすれども姿は見えぬ

 あなた深山のほととぎす(野ロ)

・斯して斯うすりや斯うなることと

 知りつつ斯うなった(野口)

・往んで寝よかよ蕎麦屋寄うか

 何も勘定で往んで寝よ(野口)

・コケコ鶏死ぬまで歌う

 死んでからなく法螺の員((野口)

・お前お下り私は上り

 姿見かわす汽車と汽車(野口)

・蒸気出て行く煙は残る

 残る煙はの癪の種(野口)

・将棋出て行く桂馬は残る

 残る桂馬は角の種(野口)

・朝は早よから起きようお前

 親と金とは使うまい(野口)

・歌は歌ても囃のないは

 寺に坊主の無い如く(野口)

・寺に坊さんおろかなれども

 井戸に釣瓶のない如く(野口)

・泣いてくれるな出舟の時に

 烏なくさえ気にかかる(野口)

・烏なくのを気にかけよすな

 此所は森の下いつもなき(野口)

・蒸気乗りとは知りつつ迷た

 ごへら焚ぎとは知らなんだ(野口)

・搏変うちゃせず大酒飲まず

 何で身上がしもたやら(野口)

・死ぬる病は唐天竺の

 婆の薬も叶やせな(野口)

・寒い寒いと思えば寒い

 何のこれはと思わんせ(野口)

・粉河蒟蒻岩出の槮粉

 松江蛤加太わかめ(野口)

・麦の飯をば角立てて食へば

 牛とも見えず馬そうでも無し(野口)

・こんな泣く子を私ゆするのも

 飯の種じやと思やこそ(野口)

・お江戸からかみ信濃は雪よ

 寒かろ冷めたかろ(早蘇)

・泣くな泣かんすな江戸へは遣らぬ

 九里や十里の和歌山へ(早蘇)

・眠とこんすよ春三月の

 苗代蛙のなく頃は

・苗代蛙のなく頃よりも

 眠とこんすよ麦の秋(早蘇)

・沖を走るは丸屋の船か

 丸の屋の字の帆が見える(早蘇)

・墨のにじみで帆は黒けれど

 私師走の雪と見る(早蘇)

・舟は帆かけてあらしを待つが

 私いとまの金を待つ(早蘇)

・堺桜町待てとは云たが

 此処は堺の桜町(早蘇)

・堺過ぐれば住吉さんの

 松が見えるよ浜松が(早蘇)

・和歌浦[から紀三井寺さんへ

 橋を架けたい舟橋を(早蘇)

・嫁はよう来た嫁こそ子なれ

 可愛い我が子は人の嫁(早蘇)

・野でも子は生み置けよ

 千の倉より子は宝(早蘇)

・ござれ金持宝を比びよ

 千の倉より子は宝(早蘇)

・宝比べに私行て来たら

 負けて来ました子宝に(早蘇)

・梅は八重咲く桜は七重

 なぜに撫子一重咲きや(早蘇)

・親はこの世のあぶら火様よ

 親の無い子に光ない(船着)

・恋し石橋小川の堰で

 鯉を釣りたい君様と(船着)

・馬は豆好ぎ馬子酒が好き

 乗ったお客は女郎が好き(船着)

・親の云うこと聴きともなけりや

 行こら和泉の鳥追いに(船着)

・寝たら念仏起きたらつとめ

 朝の勤をせにやならぬ(船着)

・殿の手拭月の輪に染めて

 天の恐れで被れず(船着)

・この子よう泣くなぜ泣く知らぬ

 お乳足らぬか寝足らぬか(川中)

・明日はお立ちかお名残惜しや

 雨の二十目も降りゃよかろ(川中)

・この子寝やそと千まで歌て

 此の子寝やねば歌がない(川中)

・眠たぐずりをする子は可愛い

 起ぎて泣く子は面憎い(川中)

・ねんねころやん搏変にまけて

 縞の財布の底たたく(川中)

・夕見たみた大きな小さい

 奈良の大仏ちゃん蟻がひく(川中)

・いばら牡丹は屋敷のかざり

 娘よいのは家のかざり(川中)

・今の子守は油断がならぬ

 末は大臣大博士(寒川)

・ねんね寝なされ寝る子は太る

 起きて泣く子は虫が出る(寒川)

・泣いてくれるなお医者さんの前で

 抓るたたくと思わるる(寒川)

・伊勢の高みかごんこせ山か

 さては山上の金かけか(寒川)

・この子寝たなら何より嬉し

 金の千両も拾たほど(寒川)

・私の兄弟七人ごんす京に大阪に

 伏見に江戸に備前筑前私や此処に(寒川)

・親は子と云て尋ねもするが

 親を尋ねる子は稀な(寒川)

・守よ子が泣きや門へ出てゆすれ

 いばら牡丹の花持たせ(中山路)

・人を笑えば末見て笑え

 末で我が子む笑はりよそ(中山路)

・西と云うたら東と悟れ

 今の世時は裏を聞け(中山路)

・繧緻善うても根性が悪い

 根性直しやれ繧緻ほどに(中山路)

・梅の香を桜に持たせ

 親の心を子に持たせ(中山路)

・篁摘む子に菜畑問えば

 蝶の行くてを花でさす(中山路)

・山間々々と町の人いうが

 山間なければ町たたぬ(中山路)

・親に延び勝つ今年の竹に

 比ぶ此の子の末見たい(中山路)

・つらいものじやよ守子の転は

 内で叱られ子に泣かれ(竜神)

・ねんね寝なされ御寝成りなされ

 朝は疾うから起きなされ(竜神)

・来ては抱きつく大木のはだに

 泣いて別れる夏の揮(竜神)

・子守したとて隙ある時は

 文字やお針の稽古せ(真妻)

・恥かしゆうござる此の事ばかり

 言うてくれるなあきめくら(真妻)

・三笠よい船東郷さんのせて

 敵の艦隊みなごろし(真妻)

・昔小弓と私蹴った石と

 憎いながらも後を見る(真妻)

雅子はけんけんつつじの下で

妻を恋しうてほうろうつ

馬の馬子はん早よ来ておくれ

馬はじやノ~こく鞍かやす

馬の馬子はん早よ来ておくれ

馬はだだこく鞍落す

守と言てからなぜ守させにや

半期五十日目の給金おくれ

半期五十日目の給金やるからに

たたきつめるのやめとくれ

今の守訣を見れば

紅や白粉瓶鏡

守は守連れ子供は子連れ

大きな姉さん男連れ

兄と弟と仲よくしよし

(真妻)

(真妻)

(真妻)

(真妻)

(清川)

(清川)

(寒川)

(清川)

(清川)

(清川)

(清川)

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同じ五本の指じやもの

ししやま

私のお父さん猪山好きで

鉄砲かたげて犬つれて

私のお父さん紺屋でござる

足でふまえて手でしぼる

行たら見て来ら丹生松原の

山田戻りの日暮しを

行たら見て来ら岡崎御坊の

舟につくつた五葉の松

ござれ来てくれ十二時頃に

人の寝ばなに門越えて

ねんねこさんねこ酒屋の子

盃かついでおどらんせ

あの子綺麗な子寒紅梅の

雪と霜との中で咲く

富田高瀬の半九郎さんは

馬は来たけど馬子は来ぬ

安藤小平さん螢の虫よ

ちぎよ

腰の火で知行をとる

ねんね根来の地 蔵はんこけて

それが可笑して眠られぬ

こんな所で守しようよりも

(清川)

(清川)

(清川)

(清川)

(清川)

(清川)

(上南部)

(上南部)

(南部)

(南部)

(南部)

一110一

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広い大阪で針仕事

守よ子守よ朝晩大事

昼の辻には守いらぬ

京や大阪の広い所よりも

藁で垣した内がよい

此所はよい所朝日をうけて

風は南の小谷から

ねんねよい子じゃお休みなされ

乳が欲しけりや乳あがれ

ねんねした子に赤飯たいて

とと

赤い膳して魚のさい

ねんねころいち天満の与一

天満江戸行ぎや私も行く

私は守して口えろごんす

じげ

こらえなされよ治下の人

この子よい子や牡丹餅顔で

黄粉つけたら尚よかろ

大阪出る時や涙で出たが

今じや大阪の金も、いや

今朝も今朝とて井筒にもたれ

涙こぼして水鏡

西の町から東の町まで

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

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歌て廻るは守じやもの

大きな姉はん遊んでおくれ

豆の三つでもよけあぐら

意見しやれてただうつむいて

思案して咲くけしの花

参りたいそよ近江の御多賀

命かみなりがんもある

奉公してみてひとせをふんで

親をいただく有難さ

破れ障子と鶯鳥と

寒さこらえて春を待つ

お前どこえ行く私置いといて

日本はなれてアメリカへ

よんべ

夕来たのはお医者の息子

御手を握った脈どこを

眠たくの細目をあけて

よなべ

夜業するのが可哀そに

どもならぬのは学校の生徒

意見しなされ先生達

寝ても起きても難難苦労よ

親等知るまい此の苦労

よいかくと自慢の襟は

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

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あまり出過ぎて見ともない

月夜なら来い闇なら来るな

闇の夜に来て撃たるるな

私等死んだら赤花いらんよ

立てておくれよ水仙を

欠伸たらく両眼に涙

仕事心はないからに

勤めする身と天神橋は

金につられて苦労する

私の行くのは高石垣の

門に蘇鉄のある内じや

こんな泣く子を一日負うたら

足は棒になる杖になる

人は嫁とる姫とる言うけど

私等日向でしらみとる

色は白ても雪には偬れぬ

雪は解けたら水になる

男守さん恥かしないか

守は女にぎめたもの

密柑売さん密柑をおくれ

密柑くれたら篭かやす

でこ

お前泣かんすな人形さんあぐら

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(切目)

(切目)

(切目)

(切目)

(切目)

(印南)

(印南)

(印南)

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お前お好きな市松人形(印南)

でこ

いとさ泣くなよ人形買て上げよそ

いとさ見たよな泣き人形を(寒川)

私等あの子に言われた事は

死んで腐っても忘りやせぬ(印南)

死んで腐って若し忘れたら

白い衣着て迷い出る(印南)

どものならぬもの死んだらわかる

煙どち行きや西へ行く(印南)

この子よう泣くお主んきつい

此所で半期もつとまらぬ(印南)

根性悪いこといかげんにゆとけ

頼みたいことまたあるぞ

根性悪うて何ためになる

こんどお前の損になる

今朝も今朝とてお粥の喧嘩

私の茶粥に芋がない

儘になるなら今一合入れて

九州入れんと食て見たい

芝居見たない重箱見たい

中の御鮨の味見たい

泣くな一太郎泣かすな二太郎

(印南)

(印南)

(印南)

(印南)

(印南)

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何を泣かそに三太郎

ねんね寝た子に香箱七つ

起きて泣く子に石七つ

御坊の会社で長らく居れば

病求めて肺になる

人に切られた根のない竹が

卯月八日に花が咲く

山で赤いはつつじの花よ

まだも赤いは猿の尻

でこ

ねんねしなされ人形買てあぐら

でこ

お前みたよな怒り人形

私はお多福自慢じやないが

こけて鼻うつ案じない

ひでくち

麦の出穂時子供を出すな

者い姉さん連れに来る

私とお前と十七違い

提灯釣鐘釣合はぬ

竹になりたや桐生の竹に

儒子や論子の綾竹に

箱根八里は腕でも越すが

越する越されぬ大晦日

曇る夕立つ夕立つ晴れる

(印南)

(名田)

(名田)

(名田)

(名田)

(名田)

(名田)

(名田)

(稲原)

(稲原)

(稲原)

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晴れる日がさす虹が立つ

さんさ時雨か萱野の雨か

音もせで来て濡れかxる

私や浜松寝入うとすれど

磯の小浪がゆり起す

ねんね根来へ行きたいけれど

河が恐ろし紀の川が

人の口には手蓋がならぬ

流れ川へは堰ならぬ

忘れた小川の谷水汲めば

桶の漏らぬのに袖しぼる

色気づいたか竜田の紅葉

ひにち

日日毎日水か黛み

人に言われぬ我が胸一つ

落ちぬ思案にひじ枕

寝ても寝足らぬ起きても足らぬ

浅黄手拭あいたらぬ

立てば借銭坐れば家賃

歩く姿は質屋行き

私家の兄嫁往んだり来たり

こぼす涙が道の露

寺へ参って坊さんのないの

(稲原)

(稲原)

(稲原)

(稲原)

(稲原)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

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井戸に釣瓶のない如く

古座に御座さんせ莫座の上で

一夜寝なかそそ古座いなせ

男少うて女の夜這い

古座に御座んせん一生楽に

おたへ十八花なら盛り

さかる色香の年頃は

野辺の若草摘み捨てられて

土に思の根を残す

怖い恐ろし落合孤提灯

提灯とられて真の闇

狐こんノ'\紺屋の脊戸で

浅黄見つけこんくと

今の生徒はよう書く生徒

机にもたれて頭かく

ドろ

入相なったら下しておくれ

夜の給金貰てない

しらみ

A「の若い衆等風か蚤か

のみでごんせん酒呑じや

此の子泣くせぎ私ゆするせき

旦那奥さん叱るせき

主の心と西洋の紙と

(塩屋)

(東牟古座)

(東牟古座)

(東牟古座)

(稲原)

(稲原)

(稲原)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

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厚く見えても切れ易い

二月二日の出替り前は

お主の厳しさ日の長さ

やさしい言葉は十日に一度

きつい言葉は日に三度

あいつ憎い奴顔見りや憎い

はってやりたい横面を

一夜泊りの呉服屋さんに

心見やれて恥かしや

私とあなたと従兄弟でないか

従兄弟ながらも袖をひく

男もつなら紺屋さん持ちやれ

御手の先まであいらしい

腹はへり山これから往んで

お櫃中山あらし山

こんな泣く子を守するよりも

往んで気楽に大機織ろ

親等甘いさか子はどもならぬ

躾けなされよ双親等

朝の六時から晩六時まで

日出紡績篭の鳥

芝居見ていて役者に偬れて

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

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七日七夜小夜に寝た

お医者さんでも有馬の湯でも

惚れた病はなおりやせぬ

山の保田で惟盛さんは

里に偬れられ身をしのぶ

意地の悪い奴顔見りやわかる

口は三角眼は四角

可愛らしのは笑窪と笑顔

憎てらしいのはさるま顔

足は冷こい手は冷こいと

いうて奉公出来ませぬ

思い込んだら蜻蠕傘じや

雨も日和も圧やせぬ

儘に会われぬ身を持ちながら

会えば互に喧嘩する

一やこけて来い二やこけて来い

三に酒樽こけて来い

いやな男の親切よりも

好いた男の無理がよい

止めておくれよつきあい酒は

飲めば浮気の種となる

連れておくれよ縁さえあれば

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

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高い低いは世の習

雲にかけ橋霞に千鳥

及びない子に恋をする

寺の和尚さん寝言をきけば

魚食いたい婦欲しい

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

私家のお父ちやん何所へ行てもわかる

色の小黒い脊の高い(塩屋)

あちら立つればこちらが立たぬ

下手な大工のたてまえが

思いきりますあきらめますと

詫びる後から出るのろけ

神戸よいとこみな行てしまう

後へ残るは私一人

お手が切れます放しておくれ

お手は切れても放しやせぬ

朝の六時から晩の⊥ハ時まで

夜業するのも人のため

旦那大根飯奥さん菜飯

ひやこめし

置いた女衆冷飯

篭の鳥でも時節がくれば

篭の破れる時がある

待っておくれよ松屋の門で

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

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心淋しや岩戸関

恐い怖ろし山犬に噛まれ

お母はん末期の水おくれ

お母はん末期の水だけ貰て

快なりたいそよ今一度

快なりたいそよ

快なりたいそよ

快ならせたいそよ

医者を枕にしてなりと

恋しこがれて比丘さん貰て

建てミあげたい庵寺を

私みたよな土手南瓜でも

男泣かしたこともある

さいておくれよ二間竿で

汐見峠の四十雀を

器量で一番姿で二番

髪の結い方二十五番

私ら往んだら兄嫁さんによ

青松葉でくすぺらるx

ねんねんごろりお休みよ

お眼をつぶって歌きいて

里の守子の歌きけば

(有田)

(松原)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

(塩屋)

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とと

私の父さん馬曳で

ひにち

日日毎日町通い

朝の出る時月がある

晩のもどりに星が出る

ねんねんごろり

内のねんねは何時出来た

三月桜の咲く時に

道理でお顔が桜色

内のこの子の枕の模様

梅に鶯松に鶴

梅に似るとも桜に似るな

同じ花でも散り易い

ねんねさんせよ

今日は廿五日

明日はこの子の宮詣り

宮へ参らばどう云て拝む

此の子一代まめなよに

ねんねしなされまだ日は高い

暮りやお寺のかねがなる

村のはずれにちらちらするは

虫か螢か人魂か

そうじやないそうじやない

(南部)

(南部)

(南部)

(南部)

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母さんの

つけしゃんした雪洞が

風に吹かれて、いるわいな

ねんねしなされまだ夜は夜中

明けりゃお寺の鐘が鳴る(南部)

あの子はかはいそうな

二つや三つで賓の河原で石を積む

石を積んだり砕いてみたり

折に父母尋ねたり

ねんねこさんねこ酒屋の子

酒樽持て来い酒やろぞ

今朝は飲みとうごんせんよ

せまだ

大阪雪駄を欲しごんす

大阪雪駄は何匁

安ても高ても十匁

ねんねころいち天満の市で

大根揃えて船に積む

船に積んだら何所まで行こに

木津や難波の橋の下

橋の下にはお亀がごんす

お亀とりたい網欲しや

私家の姉さん大阪へ嫁入り

(南部)

(寒川)

(松原)

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箪笥長持船に積む

船に積んだら何所まで行こに

大阪難波の橋の下

橋の下にはお亀がごんす

お亀おとろし私怖い(松原)

あさがおのちんちくの

朝は開いて四つにしぼんで

順ひらそでつまをからげて

岩へ腰かけ

お前も御機嫌私も御機嫌(真妻)

てXかX枕ひき

しろなて嬉してならな

奥で三味ひきゃ中の間ではやす

はやす所で立ちひきなされ

竹に雀を品よくとめて

とめてとまらぬ戸車の下で

やや

十になる子が赤児生みかけて

ようよう

生みも得せずおろしも得せず

何ぞ医者さん薬はないか

薬あるある煎じて飲ます

山の小山椒と小池の鮒と

切って刻んで姐にのせて

(真妻)

一117一

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審の河原へさらして置けば

入が通れば南無阿弥陀仏

親が通れば南無阿弥陀仏

きりきよーきょ

向の山から猿三匹飛んで来

先の猿も物知らず

後の猿も物知らず

中の猿はよく物知って

聡川へ飛込んで聡一ぴき抑へて

手で取りや可愛いし

足で取りや可愛いし

としみおがら

燈心でくXって麻幹で担うて

堂の前へ持って行て

ぎしぎしと切って

きりくうま

ぐつぐつと焚いて一切食や甘し

二切食や甘し

三切目に[庇へって

大黒様へ聞えて

一に俵踏んまえて

につこり

二に莞爾笑うて三に酒造って

四つ世の中よいように

五ついつもの如くに

(真妻)

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六つ無病息災に

七つ何事ないように

八つ屋敷を広げて

九つ米倉を建てそめて

十でとんと納った(西内原)

烏は熊野の鉦たxき

鉦無うて戻って

旦那の前へ腰かけて

竹の筒拾うて中わって見れば

赤い小袖十二枚

白い小袖十二枚

ままこ

我が子に着しよか継子に着しよか

継子はいやじや我が子に着せて

竹馬へ乗せてしやこしやご行けば

五葉松柳柳の木の枝に

烏もとまり鳶もとまり

鳥の首をねってねってねじきって

ちようろに見せば

ちようろはかしく

お殿さんの槍かたげ

よし槍かたげた

銭百やろぞ菓子買うて食えよ

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うまいことぞうてんじよ

鬼事さらば

幾皿三皿六皿七皿八皿目の奥で

鬼こそ鬼じや

隠れごとする子は早う来い

疾う来い

とう屋の藪でこけことないた

草履かくしじよんまんじよ

幾人ごんす拾人ごんす

拾人の中でお一人退いたら

お休みなさい

ひとふた

日め二め宮越嫁御

、いつやのむさしなxやのやくし

九つ十十一十二十三

十四十五十六十七

十八十九二十

大工さんには裏の戸をたのめ

おちて開く様に鳴らぬように

筏のりさん挟がぬれる

裡あげましようかけなされ

子守憎いとて破れ傘さxせ

可愛わが子は雨ざらし

(松原)

(真妻)

(真妻)

(真妻)

(御坊)

(竜神)

(竜神)

(竜神)

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ねんねねる子に赤いベベ着せて

乳母に抱かせて宮詣り(竜神)

ねんねしなされまだ夜はあけぬ

あくらお寺の鐘が鳴る(中津)

ねんね寝たなら何より嬉し

金の千両ももろたほど(中津)

ねんねんなされ寝いらんせと

明日は親もり泣かしやせぬ

ねんね眠たい寝かせておくれ

朝の御飯の出来るまで

私ら嫌いや三つ子の守は

お日の暮れんのにいのいのと

守というのも因果なものよ

主に叱られ子に泣かれ

私ら嫌いや泣く子の守は

去んで気楽な糸とりを

ねんねねんねと

何が寝やろに叩かれて

私ら嫌いや泣く子の守は

叩くひねると思われて

守が憎いとて破れ傘くれた

可愛いわが子は雨ざらし

(中津)

(中津)

(中津)

(中津)

(中津)

これ程云うに

(中津)

(中津)

(中津)

一119一

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ねんね寝てくれ寝た子は可愛い

寝た子も楽親も楽(中津)

この子寝やしといてふとんを着せて

四すみおさえて針仕事(中津)

この子寝た間に菓子売来たら

安で買うてやろ一二文よ(中津)

私ら去にたいあの山越えて

ふたおや

去んで両親顔見たい(中津)

ふおおや

去んで両親顔見たなれば

戻りともない親方へ(中津)

私ら嫌いやあのやせ男

破れ障子の骨のよな(中津)

高い山から谷底見れば

瓜や茄子の花盛り(清川)

先生どこへ行きや生徒を連れて

南部学校へ試験しに(清川)

行たら見て来い南部の寺の

いばらぼたんの咲きわけを(清川)

わしが死んだら誰が泣いてくりよに

峯の松風音ばかり(清川)

立てば有薬坐れば牡丹

歩く姿は百合の花(清川)

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梅の匂を桜にもたせ

花を柳に咲かせたい(清川)

ござれこんせよ丑満頃に

人の寝ばなに門越えて(清川)

寒いひやこい勤めがつらい

日にち勘定にしておくれ(清川)

ゆかた

姉と妹と揃いの浴衣

どれが姉やら妹やら(岩代)

私は云われたあの子の親に

五月田植の人中で

死んで腐っても忘れやせなよ

死んで腐っもし忘れたら

白いベベ着て門に立つ(岩代)

私は嫌いやあのやせ男

破れ障子のさんの様な

破れ障子は張ったらなおる

やせた男はなおりやせぬ(岩代)

送りたいけど奉公の身分よ

別れさんしよら此の角で(岩代)

意地の悪い子は目もとで分かる

目もと三角顔四角(岩代)

今の守子らこいく節で

一120-一

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殿御呼ぶのもこいくと

私を憎けりや殺しておくれ

白目黒目でにらまんと

歌は歌いがち仕事はしがち

大ぎな姉さん男連れ

いたらいもすけもろたらもすけ

門にたつのは門のすけ

大きな姉さん男を連れて

小さい私らをはねのけに

いくら小そても女子でごんす

なかよく遊んでおくれよ

大きな守さん大将になって

小さい守子をはねのけに

あの子見やんせ人の顔のぞくよ

なんどついてあるかいて

兄き巡査で妹が芸者

内は左官屋で塗りつめた

今の守子は挟の底に

おしろい

紅や白粉びんかつみ

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

(岩代)

◎苗取歌

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此の苗をひるに

おしげいなごどこにすむ

きりよすxきや

よしの葉にたんとすむ

苗代のすまの水見る鏡か

思う殿御の

顔を見るかがみか

苗とれ疾うとれ

殿が急いで苗許へ水草めが

しがらまいてとれん

此の苗のとりよさは

誰が蒔いた女郎の衆や

おれが蒔いた

江島新之丞にゃ

惚れるより迷え

夜中起してどに迷え

江島新之亟に別れる時は

池の小鮒の水ばなれ

江島さんほど衣裳持たないが

浴衣ひとえではねられた

(中山路)

(上山路)

(中山路)

(中山路)

(中山路)

(中山路)

(中山路)

一121一

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根来の子守唄と並ぶ、和歌山のニ大子守唄。

歌い手は、天性寺の津本良子さんです。

本願寺日高別院前で、歌っていただきました。