ここでは、三社託宣信仰 について紹介します。

在所:各神社

【ポイント】

①.三社託宣とは、天照皇大神宮・八幡大菩薩・春日大明神それぞれの“お告げ”(託宣)・三神の神像・託宣の文章を記した掛物を指す。

【補足説明】

①.世界大百科事典第2版より一部抜粋

 三社託宣とは、伊勢神宮(天照皇大神宮;天皇家の皇祖神)・石清水八幡宮(八幡大菩薩;武家の祖神)・春日大社(春日大明神;公家の祖神)の三社の託宣、神の“お告げを記したもの。これを信仰の対象とするのが託宣信仰で、室町中期頃からはじまったという。

 中央に天照大神宮、右に八幡大菩薩、左に春日大明神と記し、その下に託宣を載せて一軸の掛軸に仕立てたものが床の間に飾られ、信仰の対象とされた。

 前記三社は、それぞれ正直”・“清浄”、“慈悲観”を強調している。

 中世神道思想の考え方は、神道・儒教・仏教の三教融合の思想にこれに由来し、現在も正月の初参りでは、三社参りが民衆の習慣となっている。

・天照大神:謀計は眼前の利潤たりといえども、必ず神明の罰に当たる。正直は一旦の依怙(エコ)に非ずといえども、ついには日月の憐れみを蒙る。

・八幡大神:鉄丸を食すといえども、心汚れたる人の物を受けず、銅焔(ドウエン)に座すと いえども、心穢れたる人の処に至らず。

・春日大神:千日の注連(シメ)を曳くといえども、邪見の家には到らず、重服深厚たりといえども、慈悲の室(イエ)におもむくべし。