この門は岩槻城の城門と伝えられる門である。岩槻城内での位置は明らかではないが、木材部分が黒く塗られていることから、「黒門」の名で親しまれている。

 門扉の両側に小部屋を付属させた長屋門形式の門で、桁行(幅)約13メートル、梁間(奥行)約3.7メートルである。屋根は寄棟造で瓦葺き。

 廃藩置県に伴う岩槻城廃止により撤去されたが、昭和45年(1970)城跡のこの地に移築された。この間、浦和の埼玉県庁や県知事公舎の正門、岩槻市役所の通用門などとして、移転・利用された。

 修理・改修の跡が著しいが、柱や組材、飾り金具などに、重厚な城郭建築の面影を伝えている。岩槻城関係の数少ない現存遺構として貴重なものである。