愛染様の虫封じ
「数え四才になったら愛染様の虫封じ」と言われている。村内はもちろん、五里四方に有名な行事です。子供が、四才ぐらいになると、夜泣きをしたり、引きつけを起こしたりの原因不明の発熱をよく見ます。一般的に「カンの虫」が起きたとか、出たとか言われます。愛染様の縁日は、一月二十六日(昔は二月二十六日)で、寒風の吹く朝早くより子供を背負って、親達が遠方より来まして、住職より手の平に梵字を筆書きしてもらい、虫を封じる祈祷を行いました。四は死に通ずるもので、医学の進歩した昨今でも盛大に行なわれています。子供の成長を神仏に願った親心は今も昔も変りなく尊いもので、虫封じの帰りに築地に白地抜きの「愛染明王」の紙の小旗が、冬野を行くさまは昔風の縁日を思い出させます。