トロッコQ&A(工事中)

 

Q:そもそも「トロッコ」てなんでしょう?

A:みなさんは、「トロッコ」と聞いて何を思い浮かべますか?

googleで「トロッコ」を検索すると、京都嵯峨野のトロッコ列車や、芥田輪龍之介の短編小説「トロッコ」が出てきます。

嵯峨野のトロッコ列車は、山陰本線にトンネルが出来たことで廃線となった旧山陰本線跡を利用して1991年に開業しました。正式名は「嵯峨野観光鉄道嵯峨野観光線」だそうです。

芥川龍之介の「トロッコ」は、明治40年頃の鉄道工事をモチーフにして書かれたと言われています。良平が土工と一緒に押した「トロッコ」は、以下の様ではなかったかと想像されます。

      内務省土木局臨時報告 明治15年発行より

鉄道などの土木工事現場では、明治20年頃には「トロック(トロッコ)」呼ばれていたようです。

 

翻って、高野山森林鉄道など森林で使われたものは、木材運搬用の平らな台車です。上の絵の台車だけという感じです。下の写真は高野山で使用されていたものです。写真では台車は鉄製のようです。多くの森林鉄道では導入当初は木製枠の台車が多かったようです。高野山の場合は、当初から鉄製だった可能性がありますが、明言は出来ません。

      改訂九度山町史 民俗文化財編 より

昭和に入って内燃機関車が導入されるまでは、下の写真の様に登り坂は牛が曳いていました。この写真では長い大木の両端に一台ずつ計二台を配置して、それを牛が曳いています。

      高野山国有林 昭和2年発行 より                  

内燃機関車が配備されてからは、一台の機関車で何台もの台車を引張りました。左の写真の機関車運転台には「高野営林署」と書かれています。

       改訂九度山町史 民俗文化財編 より       改訂九度山町史 通史編 より                                

 

Q:「トロッコ」と「トロリー」どちらが本当の名前?(この項目は工事中です)

 土木工事などで使用される運搬車は、主に「トロッコ」と呼ばれています。一番上の絵の通称は「鍋トロ」です。鍋を背負ったトロッコでしょうか。

 山林局が管轄した森林鉄道では「トロリー」と呼ばれています。通称は「山トロ」「豆トロ」「トロ」などです。

 明治時代は、東海道線などの鉄道は、鉄道院が管轄していました。明治39年に日本で最初の蒸気機関車を使った森林鉄道が青森県津軽に完成します。鉄道と名前が付くので「鉄道局」管轄と思いきや、「山林局」が管轄しました。基本としては木材を運ぶだけで、乗客は乗せない(例外もありますが)ので、山林局で管轄して良いと、鉄道局も許可したようです。

 鉄道や築堤などの土木関係では、明治20年に「トロック」という名称が文献に登場します。

 森林鉄道では、明治29年に、茨菰山御料林で初めて軌道運材が行われます。大日本山林会報第168号では「トロック」と呼んでいます。しかし、その後、山林局或いは営林局などの書籍では「トロッコ」と呼ばず「トロリー」と書くようになります。

 ここは推定なのですが、森林鉄道が「山林局」管轄となった時に、「トロリー」という呼び名が始まったのではないでしょうか。