光江弘恵さんはエステティシャンによるNPOソシオキュアアンドケアサポート(以下ソシオキュア)の代表。震災後、石巻の人々と一緒にイベントを開催されています。

ソシオエステティシャンは事故や病気によって心にダメージを受けた人たちの心をマッサージやメイクなどの美容ケアを通して癒す職業。発祥のフランスでは30年以上の歴史がある国家資格だそうです。光江さんは以前から職業上石巻に年数回訪れていたと言います。

 

実際に活動を始めようとするとさまざまな問題に直面します。仮設住宅の集会場をつかって施術をする上で、離れた行政機関に鍵を借りに行くために時間を失ったり、予約が30日前からで、直前まで予定をたてられなかったり。「ほんの小さな問題」でも重なると大きな動の負荷になったといいます。訪問のたびに次回の訪問についてのチラシを各家庭に配ったそうですが、開催がせまってからのお知らせができないので、当日仮設住宅の各家庭に口頭でお知らせしないと集まってもらえないというご苦労もあったそうです。

 

美容自体が目的ではなく、仮設住宅に住む方々に集まってもらい、美容を通して、震災で被った心の傷を癒してもらいたいと光江さんは言います。また、ソシオキュアは東北にメンバーをもっていないので、現地の方に研修を受けてもらい、ソシオエステの輪を広げているそうです。 施術されている人が日頃困っていることをぽろっとこぼす、並んで施術されていたひとが思わず悩みに応える。現地の人同士のやり取りが始まる。この様子に気づいた光江さんはこの機会を大切にすべきと思い、施術の後みんなでお茶を飲む時間を設けることになります。そして、「一緒にカラオケに行くようになりました」「一緒にお茶を飲むようになりました」と報告されるようになったそうです。

 

光江さんの報告を聴いた石巻で活動する方が「私達にも手伝わせてほしい」と仰いました。「ありがとうございます。いままで誰と話していけば良いかわからなかった。ぜひいろいろお話を聞かせてほしい」と満面の笑顔でした。

 

(取材日:2011年12月18日 ネットアクション事務局 宮下則俊)

 

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