地方自治の役に立つ情報通信技術を(関さん3/3)

地方自治の役に立つ情報通信技術を(関さん3/3)

やっぱり技術者としてレバレッジするやり方、それがやりたかった

「IT業界全体が意気消沈していましたね。電源がなければ何もできないって落ち込んでいたと思います。日本はどうなっちゃうのとか、そんな不安な気持ちも流れていました。それでも出来ることがあるだろう」とsinsai.infoの活動に参加したGeorepublic Japanの代表社員の関治之さん。

 

「自分の経営する会社一本に絞ろうと思った理由の一つでもあるのだけれど、震災の後、活動をしていて、日本をプロダクティブにすることを目指そうと思いました。地域単位で、そこに暮らしている方々が自らその地域を良くする。そのお手伝いをしたいですね。例えば、地元の地図をみんなでつくるんです。マッピングパーティを行うんです。週末に集まって、その地域の情報を徹底的に地図に載せてしまうんです。これって、楽しみながら地域を知る活動につながりますよね。その延長上に、人々が自分たちの地方自治にちゃんと参加できるシステムを作りたいと思います」

 

関さんは、仲間とともに、交通システムなどの開発をする会社を起こしつつ、モバイル端末と位置情報と広告連動を手がけたシリウステクノロジーズの社員としてもシステムの開発、研究の仕事をしていた(シリウステクノロジーズは現在は退社)。「理解のある経営者に感謝しています」。そして、震災を通じて位置情報とモバイルの技術は重要な役割を発揮した。勤めている会社にも、自分の経営する会社にもそこで得た研究成果が、技術、発想として還元されていくだろう。

 

「日本の地域社会はシチズンシップに欠けているといわれることがあります。政治、地方自治は他人がやるもので、アクションはクレームぐらいだという指摘があるんですね。私も子どもが生まれて、やっと自分自身が自分たちの街のことを知らないってことに気がついたんです。子どもの面倒をみてくれるサービスがどこにあるのか、街のお祭りにどうやったら参加できるんだろうとか、町内会に入っても、その活動の中身がなかなか把握できないなんてことも感じました。海外を見ると、ウェブサービスで地域のコミュニケーションがうまくいっている事例もあります。ガバメント2.0といわれる流れが生まれています」。そして、もともとしっかりとしたコミュニティがあることで、震災の被害が拡大しにくかったり、立ち直りが早かったりしている事例があるという。

 

「会社経営をしながら、地域経営、新しい公共の概念で地方自治を変えたいと思います。まだ三人の会社だけど。永い時間かかると思うんですよ。自分の会社だけでは絶対できないので、いろんな方々と力を合わせて活動します。若い人の投票率を上げたりもしたいですね」と楽しそうに語る。

 

「僕も含めて、欧米とは違うマインドの日本の人たちだから、もっと気軽に『いいね!』ボタンを押すだけから始めてもいいのではないか。なにが起きているかを知る、共感する、評価を意思表示する、行動する四つのステップがあると思います。それぞれに気軽なリアクションを出来るようにしてあげたい。行動といっても情報を皆さんに広めるだけとか、ちょっとずつ。ポイントを貰えるとか、バッチを貰えるとか、インセンティブも考えたい。心理学のよくわかる人、デザインの出来る人の採用を考えています」

 

(取材日:2011年12月19日 ネットアクション事務局 杉山幹夫)

 

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