防災・日本再生シンポジウム 災害時における情報流通 ~被災地の情報を如何に入手するか、如何に伝えるか~

 

 

 

 

 

普段出来ていることは災害時にもできる

地元の大学が中核の一つとなって、地図描きや編集を楽しむ人が育つ環境を作りたい

 

 

2017.12.11 

和歌山大学産学連携研究支援センター アドバイザー
和歌山大学観光学部客員フェロー

LocalWiki Organization Japan代表

杉山幹夫


 

 

 

 

 

2013.10.16 伊豆大島の土砂災害に学ぶ

高校生の取材活動が、マッパを集めてパーティを開かせた

 

 

 

 


 

翌年の初夏

2014.5.11(before seeding) 写真提供;伊豆諸島自然保護官事務所 利用はお問い合わせください
 

 

植物の種をヘリで蒔いてから18か月後の様子

2016.5.13(18months after seeding) 写真提供;伊豆諸島自然保護官事務所 利用はお問い合わせください

 

直近の様子

三原山 撮影;2016.12.4


 

二つの地図を比べてみる

  • 世界中の道を誰もが描ける地図

  • コピーして誰でも使える地図

  • OSMとは

  • クライシスマッピングで描き上がった正確な被災状況

http://tools.geofabrik.de/mc/?#14/34.7534/139.3513&num=2&mt0=mapnik&mt1=google-map


2012年12月17日 大島を支援するマッパの集まりが出来ていた

Facebookgroupを活用したコミュニティ

https://www.facebook.com/groups/MAPIzuOsima/

sinsai.info 東日本大震災 | みんなでつくる復興支援プラットフォームを作り、LocalWikiを伝えた関さんによって

 


 

 

2013.10.16当日の国土地理院からの情報


 

 

 

なぜ、伊豆大島に

マッパのコミュニティが出来ていたのか

 

 


 

 

国土交通省の事業で

地元の都立大島高校の生徒が

地図を使って

島の観光案内をしていたから

 

 


 


 


高校生が使ったのは「LocalWiki」

カリフォルニア大学デービス校の学生が作ったオープンソース

 

シェアできる

地図付きの情報を

誰でも編集できるサーバで発信

 

 


 

 

その舞台が伊豆大島

発信したのは高校生を始めとする島の人々

 

 

 


 

川島理史当時の町長に高校生たちがインタビュー

町長は「本当に胸を打たれた。政治の初心を思い出して身が引き締まった」と語り出した

 

LocalWikiの高校生エディタの要望がマッパーを呼び寄せた

伊豆大島の地図が詳しく、正確になってゆく

  • 伊豆大島観光協会は高校生に島の魅力の発信を頼んだ

  • 高校生たちは、誰でも編集できて地図を使えるLocalWikiを活用した

  • 取材、編集を始めたら、地図を描くときに基になるOSMに「道がない」

高校生記者の記事

高校生たちが編集した地図が、オープンストリートマップを鍛えた

 


 

道がない!このお店どこに描くの?

伊豆大島の地図は道すら満足でなかった

 

地図を詳しくしないと

「記事に地図をつけられないじゃないか!」

 

高校生たちの編集環境を整えるために

「マッピングパーティを開こう!」


高校生記者活動中

呼び寄せたマッピングパーティの取材もしてしまう

 

 


 

Edit your City

Edit you CityはLocalWikiのスローガン

<まち>を編集するとは?

誰でも発信できるLocalWiki


 

日本語の編集

情報を集めて編み上げる作業を楽しむこと

 

英語のedit

では編み上げた情報を公にすること

 

 

 


なぜローカルウィキを使うのか

  • 街を大切にする人が増えるから

  • 本当のことしか書けなくなるから

  • いろんな人が使い回してくれるから

  • 情報が同じ場所に集まって発信されながら保存されるから

  • 新たな魅力に気付くから

  • 旅人も和歌山を愛するようになるから

  • 防災意識が育つから

  • マッパを育てるから


 

 

 

 

 

 

 

防災とメディアについての勉強
中越地震の調査からわかったことは

 

 

 

普段できていることは災害時にもできる

 

 

 

 


防災とメディアについての勉強
中越地震の調査からわかったこと1

MRI | 自治体チャンネル(2005年6月) |シリーズ 災害と地域メディア

20050601_ccd07.pdf

役所の情報担当による更新が罹災時もやり抜かれた

 

  • 三交代で出勤する職員の引き継ぎになった

  • 住民への説明になった

  • マスコミの取材攻勢を受け止めて、時間を省いた

  • 災害対策本部の生中継を可能にした

    CATVの議会中継のノウハウがそのまま生きた

 

 

  • 長岡まつりの混雑対応した仮設トイレの手配が、避難体制作り、仮設住宅建設を迅速にした

  • コミュニティFMのいつものパーソナリティの声が安心を広げた

 


 


防災とメディアについての勉強
中越地震の調査からわかったこと2

 

長岡まつりの原点は太平洋戦争最後の空襲だった

 

長岡まつりに想いを込めて|「長岡花火」公式ウェブサイト 

  • 焼け野原からの脱却するために自分たちを鼓舞した

  • 信越地震のあとも雪祭りを開催

  • 全村避難の山古志村も合同で火祭りの開催した

  • 祭は災害の記憶を伝える

  • 祭は防災訓練になる

 


 

 

 

祭にマッピングパーティを取り入れると防災訓練になる

 

 

祭りで出来ていれば、災害時にもできる

 

 

 

 


2013年1月19日・20日「伊豆大島初のマッピングパーティ」

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu/584691.html 

「伊豆大島ハッカソン&OSMマッピングパーティー」参加レポート/片岡 義明

離島で初開催。マッパが集結

  • 誰でも利用可能なフリーな地図データを作るプロジェクト「オープンストリートマップ(OSM)」

  • 地図作成イベント“マッピングパーティー”を開催

  • 開発者やマッパ(OSM愛好家)が集結して島の地図をほぼ完璧に描き上げた

 

「伊豆大島ハッカソン&OSMマッピングパーティー」参加レポートより

 

 


 

伊豆大島でのマッピングパーティの成果

  • 島の地図がほぼ完璧に出来上がった

  • 地方自治体や観光協会とマッパが繋がって運動を励ました

  • マッパたちの伊豆大島への愛着が高まった

 

  • クライシスマッピングの体制を整えた

 


 

正しい情報が風評を消し、復興を早める

被災の規模、特に位置と面積を正しく伝えるクライシスマッピングの大きな力

 

  • 「マスコミの発信では大島全体が壊滅したように見えた」

  • 甚大な被害。でも島の一部。企業も宿もほとんどが無事

  • 椿祭りの慣行

  • 観光協会の地図の張り出し

  • LocalWikiの発信の重要性

  • 普段から産業振興を念頭に企業や産業の情報を発信していたら、風評を消す産業情報を発信できる

 


 

「そんなことする前に、復興の役にたつ報道をしなさい」

 

LocalWikiのエディタだった高校が本気で怒った。マスコミの一部に、発災時に町長が出張していたことを心なく批判し続けた記者に対して

 

 

地元でしかわからない。LocalWikiに保存されたページや交流が物語るもの

 

 

 

  • 当日の迅速な情報発信

  • 風評を消してゆくクライシスマッピングの意味が伝わる

  • マッパたちが成果を実感できた

  • 高校生が「安否」を発信、間違った報道を正す

    「役場も島の人もみんな悲しみや悔しさをこらえて復旧に頑張っているの。そんなことする前に復興の役にたつ報道をしなさいよ」
     

  • 貴重な災害の記憶の保存

  • カリフォルニアにいる開発者フィリップが、LocalWikiの日本語化、無料サーバの設置

 


 

土砂災害のこと、お礼が記事に残る

伊豆大島ジオパーク・データミュージアム


 

印刷されて、届けられた地図が活きる

元町港の観光協会

 

宿のフロントカウンターで、来た人がまず全体像を把握した

ホテルのフロントで活躍

 


島外から見えにくい泉津地区の罹災状況は地元マッパが丹念に発信

伊豆大島観光協会の「ハイブリッドマッパ(LocalWikiとOSM両方を使う人)」岡田雅司さんによる
 

  • 2013台風26号泉津地区崩落個所

  • マッピングパーティで使い方を覚えて、観光に役立てたいとマッピング作業をしていた

  • LocalWikiの記事を書き続けていた
     


 

全国のマッパと連絡が取れて心強かった

観光協会岡田さんの回想から

皆さんにお伝えしたいこと

 

  • 当時は災害箇所等の確認は紙の地図が書き込みも含め使いやすかったこと

  • ロゲイニングを開催したことで(わかった)地図をジップロックに入れることで持ち運びやすくなること

  • マッピングパーティに来てくれた方々との連絡が取れて心強かったこと

 


大島から対岸の藤沢へ

マッピングパーティが伝播

 

  • 例えば、境川の水があふれるのを予測したLocalWikiの記事が生まれた

  • 境川 - Fujisawa - LocalWiki

  • 上流の水位、干満との重なりを警告した

 

 

 


フィリップが無償で用意した新たなサーバの活用は

和歌山県田辺市から始まった

田辺(Tanabe) - LocalWiki LocalWiki日本語化最初のリージョンは田辺市

 

 


2014.10.11マッピングパーティ

 

マッピングパーティの前のOSM

 

マッピングパーティの後OSM


田辺でLocalWikiに現れる防災の考察

 

 


2015.10.22.田辺編集会議(ぶらモタニ)

 


和歌山大学の役割はとても大きい

和歌山大観光学部の男前チームが受講生を支える;和歌山大学南紀熊野サテライトのオフィスで講座。学生たちは地元の皆さんに丁寧に記事の書き方を伝え、思いを学んだ


 

例えば、なぜ紀南で取り組みが進むのか

上富田の動きは上富田町と和歌山県が和歌山大南紀熊野サテライトコーディネート結びつく

 

田中神社の森

  • サテライトで行われる公開講座で学ぶ人の力

上富田町のお祭り

  • 役場の職員と「観光コンシェルジュ」が、LocalWikiの編集イベント開いて、二人で作ったページ

 ジオパーク勉強会

  • 和歌山県が主催したジオパーク勉強会を、上富田町とサテライトがカバー


撮影;石丸 美穂子

上富田で編集会議中

 

 


2年間で148リージョンになった

https://ja.localwiki.org/regions

全国の取り組みは、8月 19, 2014, 7:06 p.m.田辺の1リージョンから、2016.12現在全国で148リージョン

 

和歌山県にはLocalWikiのリージョンが26

 


和歌山県は全国ダントツの1位

国内の18パーセントを占めるリージョン数

 


LocalWikiのediterはマッパになる

日常の編集活動のなかで

 

  • LocalWikiのページに地図をつける

  • 地図の異常を見つける→OSMを編集する

  • 地図の情報が少ない→OSMを編集する


自分で出来ない→マッパを呼ぶ

 

  • 旅人も一度地図を描くとその土地を好きなる

  • マッパに愛される街はマッパが増える街

  • 思いをこめてマッピングをする


だから、マッピングパーティを開こう

 


 

ジオパークガイドの皆さんへ

 

  • 皆さんは、大地の歴史と人々の生活文化を合わせて学ばれている貴重な存在

  • 地元の魅力発信されるガイドの他にも地元のためにコツコツと活動されてきた宝物のような方々

  • ジオパークガイドの皆さんが地図描きと記事書きをされると素晴らしいことが起こります

  • 和歌山大学と共にお手伝いしますので、OSMとLocalWikiをつかって楽しんでください

 

 


産業界の皆さんへ

  • 日常の産業振興活動に、LocalWikiと地図を活用した情報の発信を