福島ユナイテッドを応援する地方公務員

自治体職員はこころから元気でいたい


「今、福島県内の復興を目指す公務員の姿を投影する一つの旗印として福島ユナイテッドをバックアップしたいとおもいます」と半澤一隆さんはいう。彼は震災後、除染の担当に抜擢され、長崎市からの派遣職員らとも一緒に除染活動に奔走した。福島市の職員も被災者である。自らの子どもも放射線にさらされた。除染の方針に賛否両論が溢れる。休まずに奮闘しても、批判は市役所の職人に向けられることが多い。現実的な対応に納得してもらえるまで、住民と対話を続け、除染を進めてきた。

「2月7日現在、全国に57,000人以上の福島県民が避難してます。そのうち14都府県には20,000人がふるさとを離れ暮らしています。14都府県というのは、今年ユナイテッドがアウェイで試合をするところです。アウェイであってもホームゲームになります。私達にとってオンリーワンのクラブが県民に勇気を与えてくれています」という。「福島ユナイテッド、俺たちの誇り」とグラウンドで歌い、応援し続ける福島市民。訊ねると「震災直後、本国へ帰ってしまった外国人選手がいたり、チームの存続も危ぶまれていたのが、今は昇格してJFLで闘っているんです。やっとプロリーグの入り口に立ちました」と胸を張る。
 

半澤さんは続ける「役場の後輩と一緒に県内59の役場に一名ずつサポーターがいることを目指しています。サポーターがいる市町村を地図上でクラブのカラーである赤で塗るんです。それを同時に、全国版も進めたいのです。クラブには、アウェイゲームで避難している子どもたちにエスコートキッズを募るよう働きかけてます。全国にサポーターがいるクラブはおそらくJリーグでも数少ないと思います。あえてそれを目指したい。そして、地方公務員に限定してやってみたいのです。クラブのホムページからサポーター入会手続きをいただき、自己申告制のゆるいスタイルでFacebookのグループで交流したいと思います」。

 

 

福島市政策推進部危機管理室
放射線総合対策課 主査 半澤 一隆さん。

震災の直後、福島に来てくれた友人にこんなことを言われました。阪神大震災あとの神戸市職員が、赤ん坊のご遺体を片付けながら「何で自分は生きていてこの子は死んでしまったのか。市役所の職員をしていて市民の命を助けることも出来なくて自分は生きていていいのか」と考え込んでしまった職員が沢山いたと。それでも復興の先頭で奮闘してきたのに、数年経ってばたばたと自殺していったり、苦しみつづけている職員が沢山いらしたと。福島市も酷い目にあったけど、沿岸の自治体の職員たちはこれから多くの悲しみを抱えるのだから、強い福島市を作りなさい。沢山の死者をだしてしまった自治体の職員を支えられる公務員の集団を作りなさいって。それから、2年間ずっと考えていて、浜通りの職員のためなどとは言えませんが、何かつながりを持ちたいと後輩と二人で話して、この活動を始めました。
 

  • 「公務員限定というところについて、もしかしたら一部の方からご批判をいただくかもしれません。でも、私はご批判イコール『まぜて!』だと捉えたい。都道府県市町村役場職員で地方公務員ユナイテッド。限定することで、自分たち福島市役所の職員の自信としたい。また、他のユナイテッド、大学生ユナイテッドや弁護士ユナイテッド、魚屋ユナイテッドが出来たらいいなと。長崎市の島田さんのように、派遣期間が過ぎて出身自治体に戻られてからも福島が心配で仕方がない地方公務員の思いも乗せることが出来たらいいなと」。


    全国の地方自治体で働く皆さん、サッカー好きだったり、そうでなくても、福島の誇り、福島ユナイテッドの応援をいよろしくお願いいたします。

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  • (取材日:2013年3月22日 元ネットアクション事務局 杉山幹夫)