「福幸きらり商店街」(岩手県大槌町)の皆さん

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苦しいこともあるだろさ悲しいこともあるだろさ、だけど・・・僕らはくじけない!

「大型ショッピングセンターより1日でも早く」と、昨年12月17日土曜日、大槌「福幸きらり商店街」がオープンした。理美容店、鮮魚店、惣菜店、居酒屋、スナックなど39店舗が軒を連ねる。
会長の山崎繁さん、佐々木嘉一さん、境田隆一さん、高木正剛さんにお話を伺った。

 

福幸きらり商店街誕生のきっかけは、昨年5月。大槌商工会が事業再開を望む商店主を集めて仮設商店の説明会を開催。出店者を募集すると、すぐに定員を超えた。しかし、そこからの道のりは長かった。まず建設用地が見つからない。何とか用地もみつかり建設にこぎつけたものの、商店街のレイアウトが決まらない。1階建てにするか、2階建てにするか。希望は1階に集中。10月、何とか調整がつき、地元の小学生に募って商店街の名前も「福幸きらり商店街」と決まった。

 

念願の開業にこぎつけたのは、ショッピングセンター再開の1週間前。『数日間の勝負』と山崎さんは考えていたが、ショッピングセンター再開後も売り上げに大きな打撃はない。
「マスコミやインターネットで紹介されたこともあり、大槌に来てくれた人が、ここで食事し、買い物してくれる。地元の人もにぎやかさを求めてやってくる。人が集まれば商売につながることを実感している」

 

震災前は商店街といっても通りに面して店が並ぶというものではなく、ぽつんぽつんと店舗が散らばっていたため人の流れができにくかった。
仮設商店街には人が集まる。相乗効果が生まれる。ついで買いもあれば、お互いがお互いの店で買い物をする、食事をする。
「こんな光景は、以前には無かった」

 

大槌町にはもともと大町、末広町、中央の3つの商店街があったが、大型ショッピングセンターの進出で大きな打撃を受けた。黙って手をこまねいていたわけではない。3つの商店街が協力し、共通のポイント制度を作り、季節に合わせたセールも同時開催するなど、売り上げの回復に努めてきた。だが、個々の商店が離れていては、ショッピングセンターのような「にぎわい」を作るのは難しい。

 

仮設商店街を出ても、また一緒に集まって商売したいという。そのために大槌町は一日も早く復興の街づくり計画をつくらなければならない。

 

さんぷく衣料店 山崎さん
 

震災で母親と妻を亡くしましたので、商売する気分ではなかったですね。ですけど、濡れた服を着て震える子供たちの顔を見ると、何とかしてやらねば、と思いました。大槌には小学校が5校、中学校が2校、高校が1校あります。4月には新しい制服もいる、運動着もいる、通学カバンも持たせてやりたい。その気持ちが強かったです。

 

さ々きクリーニング店 佐々木さん
 

クリーニング店は、工場設備にお金がかかるんです。今は花巻の親戚の工場に外注しています。再開するには、大槌町でどのくらいの規模の市場が見込めるか、衣替えのシーズンの需要を見てみないと。開店が遅れて冬になってしまったのも痛いですね、人がなかなか出てこない。

それに、これから大槌はどうなるのか、みんなここに残ってくれるのか、外に出て行くのか。今、大槌町には雇用はほとんどありません。大槌を離れたくない気持ちがあっても、仕事が無ければ出て行かざるを得ない。人がいない町では商売は成り立ちませんから、工場設備に投資することもできません。
でも正直な気持ちを言えば、また共通ポイントも復活させたいし、仮設商店街で得た経験と仲間を元に、いろんな商売の人が集まる集合店舗を作ってやっていきたいです。

 

 

震災直後は中央公民館に避難していました。3月末くらいになるとストーブが欲しい、売ってくれないか、という声が聞こえてくるようになりました。それで、仕入れては売る、という形で商売を再開しました。まだ避難所で生活していましたから、仕入れた在庫を置く場所がありませんので、商品が届いたらすぐお客さんのところに届けていました。5月に、境田さんと、兄との3人で事務所のドロ出しをして、仮店舗での商売を再開しました。今そこは倉庫兼事務所として使っています。ここ(仮設商店街)には在庫置き場がありませんから。

 

境田自転車協会 境田さん

自転車とスクータを扱っています。大槌高校に避難していたのですが、たまたま無事だった軽自動車に修理道具を積んで、自転車修理の仕事から再開しました。道具はホームセンターで買ったりして何とか揃えました。

自転車は、支援物資として何百台も送られてきました。これは自転車屋にとっては痛かったですね。あと、学童用のヘルメット。これもたくさん入ってきましたので全く売れなかったですね。皆さん、良かれと思って送ってくださったんですよね。気持ちはわかります。もらった人も嬉しかったと思う。でも、大槌には自転車屋が2軒ありますので、できれば大槌の自転車屋で買ってほしかったですね。
今は、自転車は修理という商売もありますので、たくさん自転車が入ってくれば修理の仕事も増える、と思って頑張っています。

岩手県復興支援協議会 仮設商店街 応援プロジェクト(大槌)はこちら

(取材日:2012年3月7日 ネットアクション事務局 前田由美)

 

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