行かないと必ず後悔する、だから揺れるサーバルームに駆け込んだ

ノンストップで稼働しつづけた仙台のデータセンター

仙台駅の近くでデータセンターを運営するテクノ・マインド株式会社IDC本部IDCサービス部に勤務する天野寛氏と小野寺正憲氏は東日本大震災の揺れが始まると、とっさにデータセンターのサーバルームの中に駆け込んだ。サーバルームの中には大量のコンピュータがラックに搭載されて設置されている。 大きな揺れで機材が倒れてくれば、大ケガをしかねない。なぜそのような危険なことをしてしまったのかという批判も受けた。しかし、お客様から預かっている 大切なシステムがどうなってしまうのか心配であったため、見に行かなくてはならないと思った。そして何よりも、今、まさにこの地震で揺れているさなかに、 サーバルームをこの目で見ないと必ず後悔すると感じたという。

 

データセンターの建物はもともと地震の揺れに強い耐震ないし免震構造になっている。テクノ・マインド社の仙台データセンターはフロアーごとに免震フリーアクセス床が設置されていて、オイルダンパーと水平バネによって揺れが軽減される仕組みをもつ。
揺れるさなかに天野氏と小野寺氏がサーバルーム内を走り続ける様子が監視カメラに記録されている。通路北27カメラがとらえた映像はデータセンター が地震などの自然災害に強いという利点を実証する証拠となった。地震の揺れが始まると、免震床がうまく働いて、建物(壁)の揺れを吸収していることが分かる。実際の揺れを地震計で測っており、3階の事務所が413ガルであったのに対して3階と4階のマシンルームはそれぞれ89ガル、80ガルであり、免震 床で揺れが1/4程度に減衰されていることがわかる。結果、サーバ等の機器は無傷であった。

 

さらに、多くのデータセンターは停電に備えてバッテリーが付いた無停電電源装置(UPS)や大型の自家発電装置を完備している。テクノ・マインド社 のデータセンターでも地震の揺れが始まって1分くらいで東北電力からの電源供給が停止したが、停電への備えが功を奏して自動的に自家発電に切り替わった。
彼らの日頃からの地震への備えは、それだけに留まらない。停電が長時間に渡ると、自家発電装置に燃料を補充しなくてはならない。実際に3月11日から12 日にかけて3回に渡り合計で1,766リットルの給油を実施した。ガソリンスタンドとは停電時の燃料の優先提供契約を結んでいた。しかも、震災等で電話な どがつながらず、連絡が取れない場合は頼まれなくても燃料をデータセンターに届けることになっていた。さらに、そのような事態を想定した訓練まで実施して いた。今回の震災はまさにそのような対応が生きた。むしろ問題は外部の通信網にあった。地元のキャリアの基地局で障害が発生し、データセンター内は無事なのに3月15日まで利用者がアクセスできなくなった。

 

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4月7日の大きな余震でも再び無事に自家発電が稼働した。結果、仙台のデータセンターは震災当日から一度も停止することなく、お客様から預かったサーバは問題なく稼働し続けた。「ノンストップで稼働する。それが当たり前なんですよ」と天野氏は語った。

 

テクノ・マインド株式会社

http://www.tmc.co.jp/

 

(取材日:2012年1月19日 ネットアクション事務局 新谷隆)

 

 

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