保護者から大きな反響を得た福島県二本松市立小浜中学校のホームページ

福島県の二本松駅は、福島駅から東北本線で郡山方面へ25分ほど向かったところにある東北の駅百選に選ばれた小さい駅だ。駅から車で20〜30分くらいのところにある二本松市立小浜(おばま)中学校に到着すると、校庭に放射線量のモニタリングポストがあることに気づいた。

 

大野教頭先生

2011年3月11日の東日本大震災の日、大野勝彦教頭先生は午前中の卒業式を終えて先生たちと相談などをしていた。職員室で緊急地震速報が鳴った。ゴーっという音とともにくる地震だったと振り返る。みんなで校舎外に出た。

 

揺れが収まると、ヘルメットをかぶって校舎内を巡視した。本が散乱、モノが落ちているが、どうやら建物自体は問題ない様子。よく見ると高架水槽のパイプが破損していて、これでは当分、水の確保に困ると思った。ただ幸い、学校は停電しなかったので、テレビで状況確認ができた。大野教頭先生は、下校した生徒の無事の確認をおよそ終えて帰宅すると自宅は停電、学校に戻り学校で寝た。月曜日以降は全校休校の扱いとなった。

 

 

翌週から校舎内の整理整頓。ガソリンが無くて、高校入試の発表を見に行けない生徒への対応などでバタバタだった。そして、放射線の問題が発生した。着の身着のままの人たち300名ぐらいが二本松に避難してきた。畳を避難所へ届け、各地からの支援物資も届けた。そもそも二本松市が安全なのかどうかもわからない。

 

4月から通常通りに授業が再開された。しかし、放射線の問題がある。当時の線量は、校庭が毎時3マイクロシーベルト程度、草むらはもっと高い。それがどの程度マズイことなのかの情報も知識も不足している状況で、判断を間違わないように智恵を絞った。まず制服をやめて、ジャージ登校とした。ジャージならば毎日でも洗える。そして校庭の利用を禁止し、遠くのグラウンドを使うことにした。窓を開けずに済むようにエアコンを設置してもらい、冷水機も寄贈してもらった。

 

そして除染を繰り返すことになる。校庭の表土は5月25日に剥いだ。校舎全般と周辺の除染を全部で10回以上実施した。体育館の屋根の除染は市にやってもらった。校舎の屋上、ベランダ、プールなどは、教職員で実施した。「今は雪があり、放射線量が低い。雪解け後に、ふたたび学校全部を洗うために、もう一回やり直しだね」と大野教頭先生はいう。

 

味原校長先生

8月になると小浜中学校に味原悦雄先生が校長として着任。さっそく学校ホームページを使って線量や除染の様子などを紹介するようになった。それは、味原校長先生が前任の郡山の学校で学校ホームページの有効性を実感していたからだ。小浜中学校のホームページを見ると、校長・教頭先生が毎日たくさんの記事をアップして、学校の日常をたっぷり紹介している。

 

「保護者のみなさんに安心感を持ってもらえるはずだと思った」と味原校長先生はいう。事実、保護者からすごい反響があった。毎日、家庭数よりも多いアクセスがあるので、どうも保護者は、自宅からだけでなく職場などからもアクセスしているようだ。

 

「びっくりした。やってよかった。本当によかった」と校長先生、教頭先生は口を揃える。

 

二本松市立小浜中学校

http://www3.schoolweb.ne.jp/weblog/index.php?id=0720021

 

(取材日:2012年3月5日 ネットアクション事務局 新谷隆)

 

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