住民と観光客がつくるオープンデータ
LocalWiki Organization Japan
杉山幹夫
はじめに
LocalWikiはカリフォルニア、デービスの住民が使い始めたサーバと活動をさします。活動はユーザなどの寄付で成り立っています。2015年10月30日現在109,000ページ、807リージョン、15 ヵ国、7言語。https://localwiki.org/
地元自治体などの帰属団体の名前のリージョンを住民、旅人の区別なく誰もが執筆、編集できる。間違いがあれば誰でも治せるため、地元の知識が正確に蓄積、発信される。
OSM(オープンストリートマップ)http://www.openstreetmap.org/#map=9/34.0913/135.7251を活用し、ライセンスはcc-by。LocalWikiのAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)を活用して、データの取り込み、吐き出しができるので、位置情報などをキーに、データ活用の場となり、活用主体を育成する傾向があります。自治体の広報職員向けに開催された講演「LocalWikiと観光の考察」で、観光情報発信の主体者が、地元と旅人双方に育つ可能性が報告れています。
オープンデータをつくる人は、オープンデータを戦略的に活用する人になる?
室蘭では、記事で使う地図、OSMに必要な情報を描き込んでゆきます。そして、出来上がった記事をまた自分でも使うというルーティンをもつエディタが登場します。
LocalWikiの記事と、OSMの地図と、室蘭市役所やバス会社のデータを活用した新たなサービスの検討をしる人が現れました。
「来て欲しい人」においでいただくのに、地元の勉強をして情報を発信する人は、地元の問題を解決する人になる。
記事を書きにくる旅人は地元の人のやる気に火をつける。
LocalWikiの記事が、自治体や他の主体に活用された経験を持つエディタは「自分の書いたものが、使われるとは、役に立って嬉しい」といいます
例えば室蘭で旅人が撮った写真を観た室蘭の人に変化が起こった
「これ室蘭?カナダかスコットランドだと思った」
「室蘭てこんなに綺麗なの?」
この写真をご覧になった室蘭の方がおっしゃいました。
旅人の一言で
「北海道で一番魚の種類が多くて、山の幸もたくさん。都市のすぐ横に素晴らしい自然。こんなに幸せを室蘭にだけ集めて不公平です」と言われると、
「そんなこと考えたこともなかった」
「室蘭のこと褒められて嬉しい」
「室蘭のことを知らなくて恥ずかしい」
「室蘭のこと知らなくて悔しい」
「私も取材して発信してみる」
写真と記事をFacebookGroupで褒められると
「私、写真も文書もほめられたことなかった。うれしい」
https://www.facebook.com/groups/muroranwiki
室蘭の記事数はリージョンの開設1年を経て、700ページを超え「室蘭」と検索して、1ページ目に顔を出すようになりました。
写真の近くの宿泊施設とその街の老舗の記事が上がっていて、それをつなぐだけで観光ルートの提案ができるようになっています。また、市役所が観光協会が推す、ものに加えて、文学や人物などに光を見出し傾向があります。「室蘭に来たがる人々」には、LocalWikiに生まれやすい観光の価値感が表現されています。室蘭を旅するに旅人向けにもなる情報が集まりだしました。地元のエディタには旅人も頭にいれた発信が少しずつ始まっています。
LocalWikiをツール、およびメディアとして、住民や観光客の書く記事が 発信され、クリエイティビティの関わる写真や記事が引用されて広がってゆきます。室蘭市は、市の広報活動のなかで、LocalWikiの写真や記事の引用を検討をしています。
たとへば札幌近郊のワイナリーでは
宝水ワイナリーが、作業総合研究所の地質図ナビを使った記事を使って、自社のブランディングに活用するベージを作成。さらに、自社の気象データをオープンデータ化して、研究機関と連携した気象分析に踏み出す検討をしている。そのとき、ゴールドコープ社の事例を参考に、企業にとってのオープンデータ化メリットを探っている。
和歌山県では
田辺市が発祥。
和歌山大学観光学部の呼びかけで、田辺の観光関連団体と市役所、新聞社が参加してスタート。
橋本市、紀ノ川市などに飛び火します。一方で聞い民報社が、自身のシステムとLocalWikiの記事を連動する仕組みを作っています。てくてく田辺 http://tekutekutanabe.kiilife.jp
紀伊民報、和歌山大学が田辺高校とつながり、高校生が触媒となり、再度ネットワークが発生してゆく。田辺市におけるネットワークの創出、強化と便益が発生している。防災の取り組みでも検討されている。2015.3.14-16防災に関する考察
橋本市の職員が継承、和歌山県情報化推進協議会(WIDA)による伝播が始まる。
はしもとに旅行を計画されていますか?
APIの活用
LocalWikiのAPIを活用して、データの取り込み、吐き出しができます。API Documentation https://localwiki.org/main/API_Documentation
室蘭のLocalWikiの活動のなかから生まれたCfM(コード・フォー・室蘭)はOSM上に、室蘭市内のバス停を正確にプロットする活動をしています。例えば、バス停を中心に約1km四方の範囲にある何らかのものについてLocalWikiのキーワードで記事を抜きだせると、LocalWikiの記事群をアプリケーションやウェブに転載することも含めた開発が動こうとしている。2015.07.12 室蘭を歩いて描こう