Hack For Japan 及川さん、冨樫さん対談(4/4)

Hack For Japan 及川さん、冨樫さん対談(4/4)

日本をHackする

 

- Hack For Japanのようなオープンなつながりは、復興支援に限らず、これからの日本のためにもすごく重要なのではないでしょうか。

 

冨樫:これまでは、企業がテクノロジーやデータを独自に開発・集約することが本流でしたので、私の本業のデベロッパーリレーションのような分野の取り組みは、あまり見られませんでした。しかし、様々なテクノロジーがどんどんオープン化する中、もはや企業の中で閉じているのは不可能で、どの企業も外部のエンジニアの力を必要とする時代になりつつあります。

 

及川:Hack For Japanは、震災をきっかけに集まりましたが、人類の進歩に貢献したい人の集まりでもあります。みんな、目の前の利益でなく公共的な利益を追求したいと考えています。その想いが震災をきっかけに表に出ました。従って、復興の後方支援というHack For Japanの現在の枠組みが将来取れたとしても、震災以外でも貢献したい、日本をHackしたいというメンバーはたくさんいると思います。

 

及川:「Hack」の的確な日本語訳は難しいですが、あえて言えば、「創意工夫で変えること」でしょうか。変えるためには既存の枠組みを壊さなければならない場合もあります。また、スピード感も違います。3年かかるようなことはHackとは言いません。一気にやってしまうのがHackです。こういった文化は、今後の日本に必ず必要です。日本のエンジニアの1/10でも参加すれば、日本を変えられます(笑)。

 

- 企業やビジネスのスタイルも変わっていくということですね。

 

及川:ヤフーもグーグルもアマゾンも、何か起きたらすぐにサービスを立ち上げます。それができる会社とできない会社の違いは大きい。ネット企業の動きがアジャイル型でスピードが速いのに対し、従来の大手企業は動き出すまでに少々時間がかる気がします。

 

「アジャイル(agile:アジリティ)」とは ・・・・・

「俊敏な」「すばやい」という意味。IT業界では、経営環境の変化に迅速に対応できる柔軟な情報システムや、効率的なシステム開発手法などを指す。これに対して、従来の開発手法はウォーターフォール型と呼ばれ、要件定義、設計、開発など段階を踏んで進める。

 

 

冨樫:Hack For Japanの立上げ当初、定款が必要ではないかと思ったのですが、スタッフと議論した結果、制約になるので作るのをやめました。現在、Hack For Japanの意思決定は10名程度のスタッフがメールでやりとりして、反対意見がなければやることにしています。

 

及川:映画「踊る大捜査線」の二作目で、リーダーがいない組織が描かれていましたが、Hack For Japanにも全体のリーダーはいません。ただし、テーマごとのリーダーはいます。例えば国の制度や仕組みをどう活用するか、対外折衝をどうするか、社会起業家の支援、エンジニアのモチベーションをどう高めるかなど。かっこよく言うと、それぞれのスタッフがテーマを持って主体的に活動する分散ネットワーク型の組織ですね。

 

- これから先、Hack For Japanはどうしていきますか。

 

及川:歩みを止めてはいけないと思います。行動に移すことが重要です。2011年の秋ぐらいから、メンバーが少しもんもんとしていました。ある程度の成果は出ていますが、もっとできたはずだという思いが皆強いんです。

 

冨樫:震災復興支援だけでなく、これから様々な場面で、技術者が活躍するための環境づくりをどうやっていくかが課題だと思います。そういう意味では、今からでもHack For Japanに参加し、何かヒントを見つけ行動に移していってもらえることを期待しています。
まだまだ全国の皆さんとやっていくことはたくさんありそうです。共に一歩踏み出しましょう。

 

(取材日:2011年12月20日 ネットアクション事務局 村上文洋)

 

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