2015年12月、400年前から受け継がれてきた持続可能な梅を中心とする農業システム「みなべ・田辺の梅システム」が世界農業遺産に認定されました。

 

梅システムも認定のひとつとなった「世界農業遺産」とは、

社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接にかかわって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を含む地域(農林水産業システム)を、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する制度です。

世界農業遺産の認定基準は、

①食料及び生計の保障

②農業生物多様性

③地域の伝統的な知識システム

④文化、価値観及び社会組織

⑤ランドスケープ及びシースケープの特徴  です。

 

みなべ・田辺の梅システムを当てはめてみると、

①食料及び生計の保障 → 日本一の生産量を誇る南高梅

②農業生物多様性 → 梅とその花の受粉での二ホンミツバチの活用、自然環境の保全

③地域の伝統的な知識システム → 400年受け継がれてきた持続可能な梅システム

④文化、価値観及び社会組織 → 生産と加工の連携

⑤ランドスケープ及びシースケープの特徴 → 山の上部に薪炭林、斜面に梅林を配置

と考えられます。

 

まとめると、みなべ・田辺地域では、

その土地を養分の乏しい礫質の斜面が占めており、山の上部に薪炭林を残しつつ山の斜面に梅林を配置することで、

水源涵養や崩落防止などの機能を持たせながら高品質な梅が生産されていること、

梅の花の受粉における二ホンミツバチの利用や里山・里地の自然環境の保全により、豊かな生物多様性を維持していることなどが、高く評価されたと考えられます。