世界でも高く評価されている白炭、紀州備長炭。
これは1000年以上昔から伝承されてきた製炭法によってつくられているものです。
しかし紀州備長炭の発展による増産から、原木枯渇という大きな問題が起こりました。それを解決するために生み出された伐採方法が「択伐」です。
択伐とは、株立ちするウバメガシをすべて伐らずに太い幹から選択して伐採し、細い幹は次に生長するまで残すという方法です。これは先人たちの経験から生まれた技術です。
この択伐により原木枯渇の危機は回避され、択伐の技術は今日まで継承され紀州備長炭を守っています。
しかし近年新たな問題が発生しました。
チェーンソーの普及などにより、手間暇がかかり高い技術が必要とされる択伐は敬遠されるようになり、皆伐が主流となりました。
製炭効率を追求しするあまり、手間のかかる択伐が衰退し始めているのです。今まさに、再び原木枯渇の危機に直面しているといえます。
私たちは今こそ原点に返り、先人たちの知恵である択伐の技術を学び、原木林を守り続けなければなりません。