🌸万葉の梅
梅の花は昔、青春のシンボルとされていました。
それはなぜでしょうか。さかのぼること1300年。そのころの万葉集では桜に比べ、圧倒的に梅の花が多く詠まれています。
そのころ、梅の花は中国からきた珍しく美しい花であり、また春を呼ぶように季節の変わり目に開花するので、その季節の移り変わりに対する
喜びを梅に託しました。そのように梅に対する接し方は明るく新鮮で、梅の花は万葉人たちの清純な青春のシンボルであったとされているのです。
例えばこのように詠まれています。
梅の花 今盛りなり 百鳥の 声の愛しき 春来たるらし 【田氏肥人】
🌸王朝の梅
このころ、梅は姿を愛でるというよりは香を楽しむものへ変わっていきます。
古今集以後の歌はほとんどが香を詠んだものばかりになります。
香は袖に移り昔を思わせるように、春の喜びから優美で旧懐の表現として詠まれるようになったようです。
例えばこのように詠まれています。
ひよはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの 香ににほひける 【紀貫之】
確かに香のことが書かれています。
🌸中世の梅
王朝の時代に、姿を愛でるものから香を愛でるものに変わり、それからもそのまま進んだようです。
この時代は例えばこのような歌があります。
梅の花 誰が袖ふれし にほひぞ 春や昔の 月にとはばや 【藤原家隆】
🌸明治の梅
このころ梅の花は和歌と俳句の中に詠み継がれていきます。
代表する歌人の歌の中にも梅は登場しますが、伝統的な美しさを詠んだ作品も、万葉集のころのようには詠まれていません。
あの頃の新鮮な輝きを取り戻すことはもうないのでしょう。
しろ梅は 袖に湯の香は 下のきぬに かりそめながら 君さらばさらば 【与謝野晶子】
🌸近世の梅
複雑化した中世の和歌に今一つ合わなかった梅の花は元禄の俳諧師松尾芭蕉によって蘇ります。
再び生き生きとした梅の花は与謝蕪村に受け継がれます。
このように再発見された梅の花は生の喜びの象徴として江戸・大坂の都会人に受け取られていくのです。
例えばこの時代ではこのような歌があります。
梅咲きて 小さくなりぬ 雪まろげ 【与謝蕪村】 https://www.fukuume.com/ume_information/zatugaku/tishiki2.html
★梅の花には素敵な名前がついています
それを紹介します。
・初雁(はつかり)
・白鷹(はくたか)
・米良(めら)
・見知辺(みちしるべ)
・冬至(とうじ)
・通い小町(かよいこまち)
・紅冬至(こうとうじ)
・日月(じつげつ)
・一重寒紅(ひとえかんこう)
・流芳(りゅうほう)
・黄金梅(おうごんばい)
他にもたくさん素敵な名前がついています。
ぜひ素敵な名前をみて癒されてください。http://www3.netwave.or.jp/~dragon39/ume.htm
↑ここに写真付きで載っていますよ!!