函館の旅の帰りは いつも高速は使わず国道37号線で室蘭まで帰る。森・八雲・長万部と寄り道しながらの戻り旅はとても穏やかで楽しい。


2016年5月。戻り旅では森町に寄ろうと決めて37号線をゆっくりと走った。ちょうど「もりまち桜まつり」が行われている時期。道の駅「YOU・遊・もり」を過ぎたあたりから函館方面へ戻る車で対向車線は渋滞気味。深いグリーンの建物「たむら」というパン屋さんの角を右折して少し進むと見事な桜が咲き誇る「青葉ヶ丘公園」が右手に見えてくる。




露店にも心が動くけれど、行きたいお店がある。「森のcafe」さん。森町のLocalWikiでこのお店の記事を見て「次に森町に行ったときは絶対に行く!」心に決めていた。
写真で見たままの可愛らしい白い建物が見えてきた。入口に入ると素敵なハートのアーチになったアイビーが出迎えてくれる。


 

店内に入ってビックリした。かなりのゆったりした空間。右手はcafeコーナー、左手は鉄板焼きなどのdiningコーナーになっている。
「いらっしゃいませ!お好きな席にどうぞ」と笑顔で挨拶して頂き、cafeコーナーの大きなL字カウンターの端に腰を下ろす。
見たことがない顔…桜まつりにきたと思ったのか「お天気でよかったですね!」と話しかけてくれる。「室蘭から函館に。帰りに森町に寄ったんです」と言うと「そうでしたか。ごゆっくりしてくださいね」と静かに微笑み メニューを差し出してくれた。14.5人は座れるL字のカウンターのほかに、diningのカウンター、テーブル席が5卓。
店内には ご近所の常連さんらしきお客様が数人、それぞれお気に入りの席でくつろいでいる。

 

「オススメはピザ。ピザがウマイ店は、基本何を食べてもウマイ」と記事で読んで、MIXピザのハーフサイズと「森ライス」を注文。
「森ライス」とは各店オリジナルのハヤシライスらしい。楽しみに待つ。運ばれてきた焼きたてピザは生地も手作り。


オーブンでじっくり焼かれた生地は モッチリしながらもふわっとした軽さ。とっても美味しい。
お待ちかねの「森ライス」が運ばれてきた。!!!なんとドリア風。


中には、帆立、お肉が隠れていて、ソースはあっさり。アイディアたっぷりのこだわりメニュー。
「最初はハヤシライス形式だったのですが、何か工夫を・・・と思ってドリア風にしてみたところ、美味しいと言っていただきまして」。
試行錯誤しながら、納得のいく料理を・・・と心がけられていらっしゃるのだろうなぁと。見事なプロの心意気。
どちらのお料理も本当に美味しく頂いた。

 

お隣の女性が、サラダをおつまみに生ビールを飲んでいる。休日の午後の 贅沢な時間。
このcafeは、そんな時間をゆっくりと過ごしたくなるような居心地のよい場所。

森町と室蘭の航路が再開されたら・・・
船に乗って森町に。そしてここでゆっくりピザを食べながら生ビールを頂く。
そんな贅沢がしてみたい。

帰り際。
「帰り道、お気をつけてくださいね」と、送られた。
「また来てくださいね」ではなく、旅の無事を祈ってくれる言葉。
なんて素敵な言葉だろう。

また来よう。心から思い 森町を後にした。

 

{2016.5.9 撮影・文中村 麻貴