物語はトッカリショの崖や地球岬から始まる。
女衒が東北から連れてきた娘たちに室蘭を教えるシーン。


札幌本道の工事で集まる男たちに用意された遊郭がやがて幕西の坂に集められた。「枕木一つにタコ一人」と歌われたことが紹介され、自分の脚を食べて生きるタコのように、命を削る労働者と遊郭の女を描く時代背景が語られている。

海の断崖に口を開ける洞窟が物語の要所に登場する。

女郎が恋をした青年のモデルは室蘭出身の作家、八木ではないかと思われるような描写がある。医師である父、大学でコミュニストになり一生を命がけで戦争に反対する青年が登場する。

主人公の女郎が結婚した相手は鐵を愛する男。経営者の一族でありながら現場を離れず、輪西の後背みゆきの丘に住む。彼女が生んだ娘の愛犬が戦争の最中、人に食べ物もない時代となったため殺されてしまう。その時頭を打ち、倒れたのもみゆきの丘。娘を助けて手当したのは、母親のかつての恋人で会った男。手当された場所は前述の洞窟であった。

丘にある小高いピークから、製鐵所とイタンキの浜の両方が見える。