情報のそぎ落とし

  • 筆者の研究室では生物学的プロセスが働く仕組みについて根本的な理解をするために分裂酵母を遺伝子的に操作し,単純化した制御回路を作り出した.
  • 複雑なメカニズムを分解して基本的な要素だけにすることで,情報の流れがわかりやすくなる.
  • cdc2遺伝子に着目して研究を進めた結果,CDK活性が細胞周期制御の中枢にある調整ハブであることが突き止められた.

生命を情報として考えることの意味合い

  • 分子の相互作用と酵素の活性,そして物理的なメカニズムが,情報を生み,伝達し,入手し,記憶し,処理する方法を探すことは,生物学のあらゆる分野で,新たなひらめきへとつながる可能性を秘めている.
  • 生物学の複雑さをより直観的な解釈にしていくには,ほかの分野の手助けも必要になる.
  • ひとつのスケールでの情報処理が分かると,ほかのスケールでも似たようなことが起きている可能性がある.
  • 情報を中心に据えた生命観は,細胞のより深い理解につながる.