小高い丘の上に人知れず存在する遺構

輪西町と東町の間にある小山「丸山」の尾根に旧日本製鐵輪西製鐵所水道の配水池跡が存在します。


歴史

大正年間の第一次世界大戦にともなう需要増で、輪西製鐵所では増産に次ぐ増産となり、工業用水や社宅用水が不足。そんな中で整備された私設水道の配水池として、この施設は大正7年に整備されました。
いつ頃廃止されたのかはわかりませんが、戦前まではこの配水池から輪西の市街地に向かう鋳鉄製の配管が残っていたそうです。その配管も戦後の動乱期に破壊され、略奪されてしまったそうで、今は残っていません。

構造はレンガ積みで、この黒いレンガは耐水性のある素材と聞きます。

耐水性のある黒いレンガが積まれた壁面

 


この場所について

この場所は「丸山」と呼ばれる小山で、かつて輪西屯田兵村の鎮守として、現在の中嶋神社の前身にあたる神社が置かれた場所と聞きます。
さらにこの場所には戦時中、レーダー基地が置かれていたそうです。もしかしたら昭和20年の空襲・艦砲射撃の時にはここで室蘭を守るために奮闘した人たちがいたのかもしれませんね。

かつてレーダー基地のあった場所からイタンキを望む今は訪れる人も少なく、道も朽ちている。

 

室蘭の水の歴史、屯田兵の歴史、そして戦争の歴史を知るこの丘は、静かに忘れられるのを待っているようでした。
[2015/02/19 山田 正樹]

 

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