筆なんか必要ないんだよ について知っていることをぜひ教えてください
中学の美術の時間、校舎を描く課題に四苦八苦。
下書きはなんとかできたものの、ここから一番苦手な色塗りはどうしたものか・・・。
半分ふてくされ気味の私に、美術の昭五郎先生が近づいてきて目を細めて一言、
「良い絵だね~。絵ってさ絵の具の筆なんか必要ないんだよ。いいかい、ほらね~。」
そう言って昭五郎先生は鼻歌混じりでパレットの上の黄緑・黄色・ビリジアンを人差し指だけで配合して、私が描いた校舎の横の大きな木の葉を色づけていきました。
色を塗るのに筆を使わなくていいなんて知らなかった。
先生が楽しそうで仕方ない。
「先生もうやんなくていいよ、あと自分でやりたいから。」
絵の具の生ぬるさとべとつく感じが妙に気持ちいい。
人差し指が葉っぱの大きさと合わなかったら小指を使ってみる。
”これ、すごく楽しい!”
生まれて初めて絵を描く楽しさを知った瞬間でした。
そして、生まれて初めて校内コンクールで入賞しました。
その時の成徳中学校の美術の先生は、彫刻家の高橋 昭五郎さんでした。
(2015.9.8 sachiko)