「小さな糸」の発見

・メンデルによる発見以降研究者たちはようやく細胞分裂にかかわる細胞の全体像を明確につかめるようになった。

・1870年代、ドイツの細胞生物学者であるヴァルター・フレミングが「小さな糸」のような微細構造を最初に発見した。彼は当時としては最高の顕微鏡でそのふるまいを観察した。

・そのとき、ヴァルター・フレミングはそれがメンデル説のいう「遺伝する粒子」、つまり遺伝子であるとは十分に理解していなかった。

 

「小さな糸」のふるまい

・細胞が分裂する準備段階で、その「糸」は縦に半分に分かれ、その後短く太くなった。

・細胞分裂の時に「糸」たちも分離し新しく形成された娘細胞に入った。(分裂前を母細胞、分裂後を娘細胞という)

 

染色体について

・フレミングが「糸」と呼んだものは、現在では染色体と呼ばれているものである。

・染色体は全ての細胞に存在する物理構造で、遺伝子を含んでいる。

・フレミングの発見と同じころ、ベルギー人の生物学者、エドゥアール・ヴァン・ベネーデンが回虫の発達段階を調べていたところ、受精したばかりの胚の最初の細胞に、四つの染色体が含まれているのを確認した。

・卵子と精子には染色体の半分がそれぞれあり、それらが融合して受精卵ができるとき、全て揃った数の染色体ができる。これは全ての真核生物にあてはまる。

・染色体の数は生物によって様々である。

 

結論

・染色体の少ない回虫という例を注視することで、ベネーデンは遺伝の普遍的な真理を見ることができた。

・単純な生物系を用いて、はっきりと解釈できる実験から始めれば、生命がどのように機能するかについて、より広い知見に繋がる可能性がある。

・フレミングとベネーデンの発見を合わせると、染色体は、「細胞」であるときと「生物」であるときの両方で遺伝子を運んでいることが分かる。

・遺伝子は、受精卵細胞が身体全体まで発達できるように号令をかける。そして、生命体が自分自身を維持するために必要な情報を与える。

・細胞が分裂するたび、遺伝子一式がコピーされ、新しく作られた二つの細胞間で均等に共有されなければならない。つまり、細胞分裂は「繁殖」の基本例である。