「アイヌの人たちは測量山をホシケサンペ(先に出てくるものという意味)と呼び、漁に出て帰るときの目印にしていました」
室蘭市のネイチャーウオッチングのページに記述があります。

 

アイヌ語をみてみると、


ホシキ=最初に
エツ=来る
サンケ=仕舞っていたものを出す

などの言葉があります。

海に隠れた大地の中で最初に出で来る山。ホシキエツサンケがホシケサンペになったのでしょうか。出すと来るの二重動詞で主語のない文が単語化していることになります。この名前はいつ付けられたのでしょう。

 

鎌倉幕府成立前夜

源氏と取り引きをしたアイヌが津軽海峡を渡り、下北半島から海峡の海流に乗って恵山を回り、恵山を超えたころにホシキエツサンケが見えてきたのでしょうか。水平線の下に隠されていた絵鞆半島の一番高い頂きが見え始めるのはどの辺りでしょう。釣りをされる方、漁師の方々ならご存知ですね。

一旦南茅部で休み、天気しだいで室蘭を目指したかもしれません。最初は頂上だけだったホシキエツサンケが室蘭に近づくにつれ山肌を見せる。
私たちも海を渡って見たいのですが、例えば、陸路、恵山を回り、南茅部、森と旅をして、室蘭がどう見えるのか眺めて見るのはいいかもしれません。

アイヌの男たちが、鎌倉からの交易の長旅の最終盤、あと一日、二日で室蘭にたどり着くそのとき、最初に見える室蘭。頂上が見えた瞬間、どんなに嬉しい気持ちで、海のカムイを崇めたでことしょうか。