死があるからこそ生命がある。

自然淘汰は無慈悲な「人間の脳」を作り出した。

自意識を持ったわれわれの心は、世界の変化に合わせて行動する自由裁量のために進化した。

われわれはやりたいことをじっくり検討し、意図的に選ぶことができる

さて、脳の能力はどのようにして生じ、「ウェットな化学」から出現するのか。

どのようにして、ニューロンの相互作用が組み合わさって、思考や意識を生み出すか。

われわれがこの答えを出すには二一世紀以上かかる可能性がある。

更に、従来の自然科学の手段だけに頼っていては、その答えに辿り着けない。

そのため、生物学者は、もっと広い心理学、哲学、人文科学、コンピューター科学からの知見を受け入れるべきである。

AIコンピュータープログラムは、生命のニューラルネットワーク(神経回路網)が情報を扱う方法を単純な形で模倣できるものもある。

これは非常に役に立つ知見である。

反対に、人工コンピューターシステムは、高速なデータ処理ではあるが、抽象的、想像的思考、自己認識、意識に微かに似た兆候も示さない。

これらは、「存在」が本当は何を意味するのかを掘り下げてくれる、作家やアーティストが助けてくれるだろう。

化学的かつ情報的なシステムとして進化したわれわれは、なぜ、どのようにして、自らの存在に気づくようになったのか。

想像力と創造力がどのように発生したか理解するために、われわれは想像力と創造力を総動員する必要がある。