多くの町内会が、新型コロナウイルスの影響で、会合やイベントを縮小・中止することを余儀なくされてる中、感染予防を徹底しながら活動・運営を継続する方法に苦慮しています。
また、近年、多くの町内会が役員の担い手不足や活動者の減少といった課題を抱えており、町内会の活性化を図るためには、運営負担の軽減とともに、若い世代を含む新たな活動者を確保することが重要となっています。
町内会活動の課題解決に向けて、ICT技術を取り入れ、感染防止と地域活動の両立をし、活動を維持していく必要があります。
そこで、室蘭市では今後の町内会・自治会のデジタル化に向けた取り組みを推進するため、「町内会デジタル化推進モデル事業」を実施しています。
選定されたモデル地域とともに、Code for Muroranが講師、パートナーとなって伴走しながら、どんな取り組みをデジタル化するか、一緒に考えて、一緒に新たな町内会活動の仕組みを作り上げていくこととなりました。
想定される自治会・町内会活動(例)
- 総会や役員会の実施(会議のデジタル化)
- 回覧板等の情報共有 など
選定自治会・町内会(モデル地区)等
知利別テラスタウン自治会発起人会
取り組み
目標
自治会内の情報共有・情報伝達をデジタル化する
会議・打合せ
第1回(2022/10/1)
- 自治会、町内会の仕事について(まずは仕事を知る)
- 取り組み内容について(方向性の相談)
第2回(2022/10/15)
-
自治会内の情報共有、情報伝達方法の提案(Code for Muroran)
- 役員はパソコンの通常操作はできるという前提(聞き取りの結果、おおむね操作は問題ないとのこと)
- 複数のツールやサービスは使用せず、できるだけ一つのツール、サービスに絞る
- LINE公式アカウントを活用する
- 可能な限り予算はかけない
- 簡単な構成とし、他の自治会、町内会への横展開も視野に考える
第3回(2022/12/10)
-
LINE公式アカウント(デモ)の確認、設定等の相談
- 回覧版:市からのお知らせは室蘭市ホームページに掲載いただき、当該ページを閲覧する。お知らせが更新されたタイミングでの自治会員へ通知する
- 広報紙、ごみ収集・廃品回収情報、防災情報:リッチメニューからの閲覧、応答メッセージにより自治会員が必要な情報を提供する
- 総会:総会情報を投稿し、閲覧してもらい、議案に反対の場合はチャットにて連絡してもらう
- 個別連絡:個別連絡用のLINE公式アカウントを使い、チャットにて連絡してもらう。
情報の更新等については、メッセージ配信にてプッシュでお知らせし、変更頻度が低い情報はメニューから都度確認できるようにする。
また、情報伝達はデジタルを活用することで、簡素化するが、個別連絡が可能にすることで、従来であれば対面や電話などの連絡が敬遠されるところを心理的なハードルが低く、役員等へ連絡、相談ができるようにすることで、自治会内のコミュニケーションの醸成を図るとともに、より良い自治会活動へつなげる。
第4回(2023/1/21)
- LINE公式アカウント完成版の確認、提供
LINE公式アカウントは完成し、今後は自治会員へ周知するとともに、運用を開始することになる。
今後は運用開始に向けた操作説明のほか、運用後の相談など、Code for Muroranで引き続きサポートしていきます。
知利別テラスタウン自治会公式LINEアカウント(検証用)画面イメージ
デモ版は友だち登録可能です。友だち登録いただき、ご意見などありましたら、ぜひお知らせください。
ご意見はデモ版内の個別連絡よりお知らせください。
知利別テラスタウン自治会公式LINEアカウント(検証用)友だち登録
©Muroran city,2022
©Muroran city,2022
©Muroran city,2022
取組中に想定外だったのは、LINE公式アカウントのプラン変更が発表されたことです。
無料プランのメッセージ配信が1000通から200通へ減少となり、配信できるメッセージ数が少なくなってしまいました。
1000通内でのお知らせを考えていたため、運用を検討する必要がありますが、まずは無料プランで運用を開始し、200通内での対応を考えていく予定です。
【重要】LINE公式アカウント 料金プラン改定及び日割り廃止のお知らせ
運用における効果・継続対応について
令和5年4月に知利別テラスタウン自治会が立ち上がりました。
立ち上げにあたり、総会の可否を公式LINEで受け付けました。
個別連絡
個別連絡では、ごみステーションの状況やごみ出しのルールの徹底についてなど、自治会員の方から連絡、提案がありました。
役員で1件ずつ丁寧に回答していただきました。
誰にも言えずにいた方もしっかりと提案し、それを自治会で守っていくルールとすることで、より自治会活動の必要性を感じていただけたのではないだろうか。
電話のような連絡だけではなく、写真も送ってくださる方いて、より分かりやすく情報をやりとりできるのもデジタルでのコミュニケーションのいいとろこです。
緊急性のある内容の一斉配信
令和5年5月中旬から連続して、室蘭市知利別地区に熊の目撃情報があります。
知利別テラスタウンの近くでもあり、住民は不安だと思います。そんな中、市役所からの情報をいち早く、公式LINEのメッセージ配信でお知らせしました。
熊の目撃情報といった命にかかわる情報で、お子さんの通学時等での危険もあり、住民がすぐにでもほしい情報です。
公式LINEがあったからこそ、すぐにお知らせすることができ、回覧板では情報を遅延が生じるため、住民に一斉にお知らせできるのは非常に大きな効果です。
さらに、メニュー画面も【熊目撃情報】用に変更し、自治会員がほしい情報にすぐ知ることができるようにも対応しました。
【熊目撃情報】では、室蘭市役所が公開している「熊出没確認マップ」や「クマの目撃情報」を確認できます。
令和5年度(2023年度)取り組み
まちづくり活動支援補助金
室蘭市が魅力あるまちづくりのため、市民が地域の活性化や課題解決を目的とした取り組みを支援する補助事業であり、室蘭市が抱える行政課題について市からテーマを提示する「行政提案型協働事業」にCode for Muroranが「町内会・自治会の「LINE公式アカウント」普及サポート事業」として採択されました。
また合わせて、「町内会デジタル化推進モデル事業」はR4年度(2022年度)から継続して、アドバイザーとして参加しています。
デジタル回覧板体験会
室蘭市内の町内会・自治会に案内し、デジタル回覧板体験会(町内会向けLINE公式アカウントの体験会)を実施しました。
7団体を対象に実施しました。
ご自身のスマートフォンで、町内会向けLINE公式アカウント(デモ版)を登録し、触ってもらいながら、機能の説明を実施しました。
操作が簡単であることを実感してもらいつつ、導入が可能か検討していただきました。
導入団体(予定)
令和5年度(2023年度)には、
- 高砂晴友町会
- サンライズ2丁目町会(日の出町)
が令和6年度(2024年度)の早期導入に向けて、相談させていただきながら、LINE公式アカウントの設定を行いました。
高砂晴友町会は当初は子育て世代をターゲットに導入を予定しており、まず町内会のことを知ってもらえるようなメニューや町内会でのイベント情報が見られるように工夫しています。
高砂晴友町会
- アイコンも子育て世代が親しみやすいかわいいアイコンを選択
- 町会についても知ってもらえるように町会区域、目的、事業計画、月会費、役員体制についても表示
- イベント情報もすぐに見ることができる
- 子育て世代をターゲットとするため、防犯に関する情報も掲載
サンライズ2丁目町会
- 基本的には知利別テラスタウン自治会のLINE公式アカウントを参考とした
- 「町会からのお知らせ」として、お知らせ情報を確認できるように工夫
導入後支援
令和4年度(2022年度)に導入、令和5年度(2023年度)の導入準備をされている団体向けに運用後の相談対応を行いつつ、運用開始に向けては操作方法の説明をさせていただき、継続して伴走した支援を実施しています。