室蘭市街電車計画

年表

日付 できごと
昭和2年秋頃 路面電車構想が持ち上がる
昭和3年1月 栗林徳一ら(市議会議長今田房次郎ほか議員5名)が室蘭電力軌道株式会社設立計画を具体化、道庁に出願
昭和3年5月 室蘭市長が「軌道敷設に関する諮問案」を上程。この諮問案を図るため市議会の会期が延長され、採算が可能との結論に至る。しかし市長は計画に対して慎重な姿勢を崩さず。
昭和3年6月29日 市議会本会議において「電気軌道は市が敷設・経営するため、民営のそれは出願しないよう要請」する答申が議決

路面電車計画の立ち上げ

昭和2年の秋頃、室蘭〜輪西(現東室蘭)間に路面電車を建設する計画が持ち上がったらしい。

誰が、いつ、どのような形でこれを表明したかは不明。

室蘭電力軌道株式会社設立計画

栗林徳一、市議会議長今田房次郎ほか市議会議員5名を含む計7名が、室蘭電力軌道株式会社設立計画を具体化し、昭和3年1月に道庁に設立を出願。

このとき具体的にどのような会社を興し、どのような路線や途中駅を作る計画であったかは不明。出願時の「事業目論見書」なるものが存在するらしいが、現存するかは不明。

市議会での審議

昭和3年5月に室蘭市長が市議会に対し「軌道敷設に関する諮問案」を上程。この諮問案を図るため市議会の会期が延長され、採算が可能との結論に至る。

しかし市長は計画に対して慎重な姿勢を崩さず、業務委託のような形が取れないかを模索する。その後業務委託交渉は失敗してしまう。

このとき市議会では当時路面電車が開通していた札幌・函館・旭川に議員を派遣し視察を行うなど、実現に向けての取り組みを強化していた。

一方その視察に対して「日数もかけておらず不適切だ」といった意見も出た。

その後6月29日に「電気軌道は市が敷設・経営するため、民営のそれは出願しないよう要請」との答申を賛成多数で議決。

なお市議会で詳しいルートや駅の配置計画などについて議論した形跡は見られなかった。

市電計画のその後

議決の直後世界恐慌が発生。そのあおりを受け室蘭市の財政が厳しくなったことから未完成のまま今に至る。

なお昭和4年から14年までの議会議事録は火事により焼失しているため、どのような経緯で計画が収束したのかについてうかがい知ることはできない。

参考資料

  • 道南バス70年史 - 1995, 道南バス70年史編纂委員会編, 平成7年3月発行
  • 室蘭市議会議事録 - 昭和3年