すべての生命は細胞で構成されている。人の体では30兆個の細胞など、この生態系に占める数量からすれば微々たるものだ。その中で多様な細菌、古細菌、真菌、単細胞真核生物などの共同構成員の数は天井知らず生きている。

人体の中の細菌と微生物はわれわれの細胞と身体に大きく依存しているが、われわれの方も彼らに依存していることがある。植物は、空気から二酸化炭素を、土からは水を吸い込み、太陽のエネルギーを利用して、炭素ポリマーなど、自分に必要な複雑な分子の多くを合成する、それは大量の細菌に依存しているのだ。

ゼロから、自らの細胞の化学的構造を作り出すことができる動物や植物や菌類は、一つもいない。古細菌、藍藻のような比較的単純な生き物は人間より長生き、自立している。人類が必要とするエネルギーを作り出すミトコンドリアは、かつてはまったく別個の細菌で、ATP(アデノシン三リン酸)を作る能力を持っていた、今は主である細胞は、「お客さん」の細菌が作ってくれるATPなしでは生きてゆけなくなり、ミトコンドリアは定住することになった。