幻想的でまるで銀の龍が駆け巡るよう

3月から8月にかけて、室蘭には街を覆い尽くすほどの海霧が発生する。海霧は、海から静かに断崖を登り山も家も道路も呑み込み雲海となる。それは大きな生き物の様にゆっくりと動き、ため息が出る程美しい。
うっとり眺めていたくなるその様は、幻想的でまるで銀の龍が駆け巡るかのようだ。

空には雲を頂く羊蹄山、海には雲海(2014,7,1 測量山展望台から撮影 西本玲子)
 

客船サン・プリンセスも霧の中を出港して行った川のように室蘭港を流れる    

測量山から駒ヶ岳まで雲海を歩いて行けそうな錯覚を覚えた入江運動公園に落とされた海霧のベール

 

 

 

 

 

 

 

 

霧なのか雲なのかイワツバメも喜んでいるように見えた       

アイヌには、こんな神話がある

オキクルミカムイ(人間くさい神)は、 カムイ(神)でありながら人のコタン(集落)で育った。 オキクルミは、洞爺湖に棲む羽を持ち空を舞う龍蛇オヤウカムイをどうしても鎮められず、天に頼んで霙を降らせた。 寒くて動けなくなった龍はオキクルミに討たれ、海に沈められるが、洞爺湖に帰ろうとする心が残る。そして、時々南東の海から室蘭の断崖を駆け上り湖を目指す。 しかし、オキクルミを育てた太陽の女神は龍を湖に戻さない。強く照りつけてその体を蒸発させてしまうのだった。これは、アイヌの血筋の方から直接伺ったお話です。

電信浜も呑み込む洞爺湖に帰りたいオヤウカムイ

 

銀の龍(動画)

室蘭の海霧の写真をアイヌ神話をイメージして動画にしてみました

注:この動画は、含まれる音楽の著作権所有者のポリシーにより、ここでは一部のスマートフォンで見る事が出来ません。パソコンまたは、こちらから御覧下さい。https://youtu.be/LtYxPS1Jwho

2016年4月19日 文・写真・動画 西本玲子


連日続いていたどんよりした天気から一転、見事な晴れとなった2016年6月22日の朝。
遠くに見えるイタンキ方面は海霧に覆われているようでした。
そして、ふと目を向けた先には、銀の龍に丸呑みされた鷲別岬の姿が…。

2016年6月22日 文・写真 荒瀬 宗之

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