らっと。てついち にあるお茶屋さん。やさしいほうじ茶の香りがいつもほっとさせてくれる

 


清香園茶舗
住所:室蘭市輪西町2丁目5-1 ぷらっと。てついち内
TEL:0143-44-5043
 

 

 

 

 

 

「時間あったらお茶飲んでいきませんか」と、ご主人に声をかけていただいて、

「えっ、いいんですか。うれしいです」

「どうぞどうぞ。たててあげますよ。茶碗はどれがいいでしょうねえ」

たくさん見せていただいた中で、一番温かく優しそうに感じた洞爺の陶芸家の菊地勝太郎さんの作品だというお茶碗を選ばせてもらいました。

ちょうど10月20日(火)から洞爺湖芸術館で、この先生の陶芸展が行われるそうです。

 

たてていただいたお茶を見て感動。思わず「写真撮らせていただいてもいいでしょうか」と訊きました。

「撮ってもいいけどね、これじゃあ格好つかないからなんか白い紙敷かないとね」

そう言ってレジカウンターの上に白い紙を敷き、その上にお茶碗をそっとのせてくださいました。

手のひらにのせると、お茶碗から伝わってくる抹茶と土の温もりがやわらかくて温かい。

「私、全く作法も知らずに失礼します」

「作法なんか気にしなくても良いですよ」

普段はなかなかいただくことのない抹茶ですが、濃く深い味わいに緊張感も加わり、楽しく美味しくご馳走になりました。

玉露の葉の部分を石臼でひいたものを抹茶と呼ぶんだそうです。

 

現在の店主の葛西廣一さんのお父様は元満州鉄道にお勤めされていて、日本へ引き上げの際に国鉄への誘いがあったもののサラリーマンが嫌で盛岡のお茶屋さんで働くことにされたそうです。

その後、取引先の問屋さんに室蘭でお店を構えることを勧められて、昭和26年に輪西2条通で清香園茶舗を開かれたそうです。

ところが、廣一さんがまだ大学生だった22歳の時にお父様が脳溢血で突然倒れられ、通っていた大学をやめて室蘭へ戻りお店を継ぐ決心をされたそうです。

「最初からお店を継ぐつもりでいらっしゃったのですか」と伺うと、

「全くそんな気持ちはなかったんですよ。でもね、5人兄弟で上に姉はいたけれど一番下の弟がまだ小学生でね、私がやるしかなかったんですよ」

そ の後、右半身が不自由となられてしまったお父様と一緒に行商へ歩かれたり、同期会などへも同席されたりと、お父様を支えながら過ごした17年間はとても充実されていたと振り返ってらっしゃいました。

そして、現在は廣一さんの息子さんが右腕となられて、親子でお店を切り盛りされているそうです。

そんなお二人は、お茶を通じて多くの方々に日本の伝統に触れていただきたいと考え、日本茶インストラクターの資格を取られたそうです。

 

笑顔でたくさんお話ししていただいたご主人の葛西さん

 

お店の棚にはお茶の道具がたくさん並んでいます。室蘭近郊でお茶の道具を扱っているお店は清香園茶舗さんだけだそうです。

 

(2015.10.18sachiko