目の前にシスターオリビアがいる。
「何か、質問はありませんか?」
「はい。」
田村さんが手をあげた。質問をしている。
私はそのあいだ、3ヶ月前の同窓会でインタビューをさせていただいたときのことを思い出していた。
「クリスマスのときなどに、シスターが作ってくれたクッキーが美味しかった。懐かしい。」
そう話している2回生の皆さんのキラキラした笑顔に嬉しくなって、私は言った。
「私たちがこれから行く修学旅行でシスターに会えたら、皆さんが美味しかったと言っていたこと、伝えます。」
私は、そう言った。
今、目の前にそのシスターがいる。
「今こそ、伝えなきゃ。」
「ありがとうございました。」
田村さんの質問が終わったようだ。
「他に質問ありませんか?」
「はい。」
手をあげて、立ち上がる。
声が震えている。緊張で気を失ってしまいそう。
何の質問をしたかはあまり覚えていない。
ただ、その質問のあとに、私は「2回生の皆さんが、クリスマスのときにシスターが作ってくれたクッキー美味しかったと言っていました。」と続けた。
シスターは昔の学校のことについて、私たちに話したあと「伝えてくれてありがとう」と言ってくれた。
そのあと、私たちはクッキーを食べた。シスターが作ってくれた、とっても美味しいクッキー。
「2回生の皆さんが当時食べていたクッキーも、こんなに美味しかったんだろうな。」
時代は違っても、同じ校舎で高校生活を過ごした先輩たちと、同窓会でインタビューを通じて出会い、そこで話したことをシスターに伝えることができた。そして、シスターが作ってくれたクッキーをみんなで食べた。
私たちはどこかで同じ思い出を持って通じている。そんな気がして、嬉しくなった。