・カントは著書「判断力批判」の中で生命体は、自らの運命をコントロールする、組織化され、結束した、自己制御力のある存在だと唱えた

・細胞レベルで生命体を考えてみると、情報を管理することでのみ、細胞はその極度に複雑な働きに指示を課すことが出来、ひいては、生き延びて増殖し続けるという究極の目的を達成するという事が分かる

・蝶が、周りの世界の情報を集め、行動を修正するためにその知識を利用するのと同じように、細胞は、内と外の化学的かつ物理的な環境を常に評価し、その情報を利用して、自分自身の状態を制御している

・情報を利用することが、細胞にどんな意味を持つのか、考えるためにまず、遠心調速機という機械を見てみる

・この機械の球の位置は、エンジンのスピード情報を読み出す役目を担っていて、スピードが望ましいレベルを超えると、蒸気バルブというスイッチが作動して減速する。つまり、人間を必要とせず、機械が自分自身を調節する情報処理装置である。

遠心調速機のようなシステムは生きている細胞でも広く使われていて、こうしたメカニズムは「恒常性」を保つための効率的な手段となる。

・恒常性は身体が、体温や体液量や血糖値を一定に保つように常に働き続けるプロセスである。