細胞の記憶 について知っていることをぜひ教えてください
コンピュータ・ハードウエアは一般的に静的で柔軟性に欠ける。一方、生化学は流動的で動的であり、効率的にシステム全体を配線しなおす。そのため細胞や生き物を理解するのにハードウエアとソフトウエアの喩えはすぐに無理が出始める。
システム生物学者のデニス・ブレイは、生命を「ウェットウェア」と呼ぶことにした。湿った化学を媒介してパーツ同士がつながっているため言い得て妙である。
システムの様々な構成要素と外部環境のあいだで効果的なやりとりを実行する一連のモジュールを「シグナル伝達経路」と呼ぶ。
細胞はシグナル伝達経路の動的なふるまいを活用して、出力のオンオフの状態に費やす時間を変化させることで、単純なオンオフの信号よりもはるかに豊富な情報を伝えることができる。
細胞は細胞周期中に短期の過去の情報を利用し、細胞周期の初期に発生した事象を記憶してその後の周期で起きる事象へと申し送る。このため空間を通して信号に送ることに加え、時間を通して信号を送ることができる。