医療の分野においてアメリカのような民間の健康保険で成り立っている国は遺伝子の情報を治療に使うことが難しいという問題があり、それに対して国民皆保険制度を採用している日本やイギリスはそういった問題は起きない。しかし、それらの国では遺伝子の情報を利用できることで、医療とは関係のない部分を解析され、差別される可能性はらんでいることに注意しなければならない。

 現在、遺伝子編集を利用した治療方法の研究が進んでいるが、生まれてくる子供の遺伝子を編集したときにその子孫の細胞の遺伝子も変化させてしまうことや、遺伝子に基づく治療の際に意図せず遺伝子を変えてしまうことによって潜在的な危険をはらんだ、副次的な影響を引き起こされる可能性が考えられる。

 現状では遺伝子に対する理解度は絶対的な自信を持つほど進んではいないが、この先、重い病から人々を開放する手段となりうる可能性がある。しかし、人為的に高い能力を持った人間を作り出そうとする行為は倫理上の問題があり、今後、議論していかなければならない。