リボソームは、新しいタンパク質分子を作るために、お目当ての遺伝子の暗号を読んで、二〇種類の「アミノ酸のアルファベット」に変換する。手始めに、細胞はお目当ての遺伝子の一時的なRNAからできているコピーを作る。
 これは「メッセンジャーRNA」と呼ばれ、核の中の遺伝子からリボソームへ、遺伝子の情報コピーを携え、物理的に輸送するという、配達人の役割を果たす。リボソームは、メッセンジャーRNAを「鋳型」として利用し、遺伝子の指示通りの順序でアミノ酸を一列に並べてタンパク質を作る。周囲から独立した、高度に組織化されたミクロ環境を形成することで、リボソームは、複数の段階と複数の酵素が関与するプロセスを、正確かつ迅速に実行するし、それぞれのリボソームが、三〇〇個程度のアミノ酸を含む平均的なたんぱく質を作るのにかかる時間は、僅か一分である。

 細胞小器官は、リボソームより大きいが、それでも、人間に身近なスケールよりはとても小さい。また、細胞小器官は、それぞれ固有の脂質膜(膜脂質)で包まれている。細胞の中心にあるものが「」として知られている細胞小器官であり、顕微鏡の下では、核は通常、最も見やすい細胞小器官である。
 ほとんどの細胞は小さいが、細胞核はさらに小さく、細胞核ひとつの体積は、白血球の体積の一〇パーセントにすぎない。
 しかし、その小さな空間に二万二〇〇〇個の全ての遺伝子も含め、全DNAのコピーが詰まっており、まっすぐに伸ばしたら全長二メートルにもなる。
 細胞を生かし続けるためのさまざまな化学反応には、常に大量のエネルギーが必要である。今日、われわれの周囲の生命体の大多数は、突きつめれば、太陽からエネルギーをもらっている。