日本にひな祭りの風習があることを知ったアメリカの牧師が、戦前日本に12000体の青い目の人形を寄贈した。
送られてきた内の80体あまりが道内に、その中の12体が室蘭の小学校に寄贈されたという。
絵鞆小学校の校長先生は、戦争中廃棄されるのを恐れ、養護教諭に人形を託した。それが、いま室蘭市民俗資料館(とんてん館)に残っている人形である。
靴はオリジナルのものだが、衣装はこちらで後から作ったもので、いま着ているものの他にも沢山あるそうだ。
すべての人形が、1体1体名前とパスポートをもっていたが、今は不明のものも多い。
当時は常盤町の女学校で歓迎式典も行ったそうである。
日本からも返礼の人形(?)がアメリカに寄贈されたが、その数は2桁ほど少なかったという。国力の違いを反映してのことかもしれないが、友好を願う思いはアメリカ人牧師の方が強かったということだろうか。
ちいさな青い目は、太平洋をはさんだ人々の間の、波乱に富んだ経緯をずっと見つめて来たことだろう。こうして綺麗な服を着て、大事に保管されているのを見ると、ほっと胸をなでおろす思いである。
(2015. 4.24 Yasushi Honda)
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