幹細胞

細胞生物学の進歩と発展により、変性疾患の治療法がもたらされている。

幹細胞を例にとる。幹細胞は、身体が保持している未熟な細胞で、初期のにある細胞と似ている。

幹細胞の要となる特性は、繰り返し分裂して新しい細胞を作る能力と、その新しい細胞がより分化する能力を持っている事にある。

成長が著しい胎児や赤ちゃんは、大量の幹細胞を持っている。

また、幹細胞は成長が止まってかなり経っても成人の身体のさまざまな部位に存在する。

人の細胞は毎日、何百万も死んだり脱落したりする。なので、人の皮膚、筋肉など多くの組織は幹細胞の集団を含んでいる。

 

iPS細胞

近年、科学者は、幹細胞を分離・培養し、神経細胞、肝細胞、筋肉細胞など、特定の種類の細胞にする方法を編み出した。

今では、患者の皮膚から完全に成熟した細胞を採り、発達の時計を巻き戻して、幹細胞の状態に戻るように処理することが可能だ。

これは、日本の山中伸弥教授が発見したiPS細胞を用いた技術である。

科学者と医師がiPS細胞の技術を完全に習得し、安全性を立証することができれば、今のところ治療不可能な、パーキンソン病などの神経系と筋肉の病状を回復させることも可能かもしれない。

 

今後の展望

健康な人であっても、皮膚の弾力がなくなり、筋肉は落ち、免疫系の反応が悪くなり、心臓の力が徐々に弱まる。これらは原因が一つでないため、単純明快な解決策はない。しかし筆者は、数十年後には、平均寿命がゆっくりと上昇し、高齢者の生活の質も向上すると確信している。

我々は永久に生きることはない。しかし、幹細胞や新薬や遺伝子治療を組み合わせた治療により、誰でも、年老いて病んだ身体を蘇らせ、再生できるようになる。ただし、健康的なライフスタイルの実践も忘れてはならない。