椴松の松脂ってスンゲーいい匂い

講師の堀江さんは、鞄から棒を取り出し、樹皮の膨らんだヤニ袋をつついた。すると、綺麗な樹脂が流れ出る。僕ら参加者にもその辺りに落ちている硬い枝をつかんで、同じことをするように促すので、やってみると癖になる匂い。

トドマツ(椴松)は名前に松とついているけど、モミ属の仲間。北海道ではもっとも多い針葉樹で、「人工林,天然林あわせて道内総蓄積の約4分の1」と言われる。

アイヌ語でhup 。もとは腫れ物という意味。樹皮に脂の溜まった膨らみが多いので、そう呼んだと言う。

Hup-niはhupが木の茎や幹をさすのに対して、樹木全体「木」をさす言葉。枝は手を意味するtekをつけて、fuptekというのだそうだ。

アイヌはトドマツの実を食べ、樹皮を家の屋根や壁に使った。敷物としても使い、冬の森で野営するとき、椴松の枝の下でトドマツの小枝を大量に積んで座とし、枝で屋根を作って小屋掛したという。

冬眠中のヒグマを仕留めるとき、トドマツの枝を衣にして、穴中で寝ているヒグマに毒矢を打つ。その後、衣を残して離れる。匂いが強いので、攻撃した相手の匂いだと思ったヒグマはトドマツの衣を攻撃するという。その間に離れたところからヒグマに止めをさすのだと。

トドマツの脂の匂い、ヒノキ風呂や柑橘、アールグレーのお茶、油絵の具をとかすテレビン油の心地良い揮発性の匂いを嗅ぎながら、堀江さんの話に聴き入り、日差しを浴びていた。

アイヌ民族博物館デジタル図鑑に松浦武四郎などの引用元や詳細が記されている。

 

トドマツのマツヤニっていい匂い について知っていることをぜひ教えてください

知里家の庭で植物観察