登別化石林発見地点の火山灰に埋設された炭化木
昭和59年5月に西胆振地区を中心に地史を研究しているグループ胆振団体研究会のメンバーが地質調査中に高速道路の工事現場で発見した日本最古の埋没化石林です。炭化した樹種を分析すると現在のサハリンなどに分布するグイマツなど現在よりも寒冷な気候で育つ木が大勢を占め、このあたりが寒かった時代の森の化石であることがわかりました。この森を火山灰で埋めたのはクッタラ火山です。クッタラ火山は十数万年前に活動を開始し、7万年から4万年まえまでの長い期間激しい活動を続け、火砕流や火山灰などを多量に噴出しました。クッタラ火山は最初は富士山のような成層火山だったと推定されますが、その後、火山の中身が出尽くして陥没し、現在の地形に変化。その後、カルデラ内に水がたまり、カルデラ湖を形成したと考えられます。
クッタラ火山は面積では登別市の1/3近くを占めています。また、寄生火山としての日和山や登別温泉、地獄谷などは現在も活動を続けていますが、自然や観光資源、温泉など貴重な財産を残してくれました。もし登別市にクッタラ火山が無かったならばきっと特徴のない町になっていたかもせれません。そう思うと不思議な感じです。登別市はクッタラ火山にいくら感謝しても感謝しきれないでしょうね。
霧にむせぶ化石林の森
炭化立木を樹脂で固めて採集するための固化作業