万松院(ばんしょういん)、清瀧山(2019年調査。『風土記稿』は「祝融山」としている)は、風祭にある曹洞宗の寺院。本尊は聖観音。開山は三河国吉田(愛知県豊橋市)龍拈寺7世・白州巌龍(勅特賜:法輝円明禅師、慶長7年・1602没)。開基は大久保忠世(文禄3年・1594没)。江戸時代には龍拈寺の末寺だった。(1)
寺伝によると、徳川家康の嫡男・松平信康の供養のために建立されたという。
縁起
万松院のウェブサイトによると、文禄元年(1592)に、徳川家康の嫡男・松平信康(天正7年・1579死去)の供養のために、小田原城主だった大久保忠世によって建立されたという(2)。
この話は『風土記稿』にはないが、開基は大久保七郎右衛門忠世(諡号:了源院日脱。文禄3年(1594)9月15日没)とされている(1)。
境内
『風土記稿』のとき、境内に、薬師堂、白山社、山神社があった(1)。
俵石
山神社のあたりに、俵石と称する石が3つあった。その形が俵に似ていることから、そう呼ばれていた。(1)
庫裡
庫裡の屋根は茅葺きで、調査時に一部がビニールシートで覆われていた(4)。
イチョウの木
市文化部文化財課によると、境内のイチョウの木は目通り幹囲が4mを超える巨木(5)。
墓地
境内の墓地に、大沢次郎左衛門正秀とその子・大沢次郎左衛門正重の墓がある(大沢家の墓所)(1)(4)。『風土記稿』の頃も、子孫の旗本・大沢主馬家から、香奠を受けているとのことだった。(1)
また慶長15年(1610)に建立された福島伊賀守の墓、2021年(令和3)に建立された松平信康の墓がある(4)。
土砂災害警戒区域
万松寺を含む万松院沢の区域(41022 万松院沢)と第3万松院沢の区域(41024 第3万松院沢)は、神奈川県の土砂災害警戒区域(土石流)に指定されている(2012年5月8日 告示第291号)(3)。
寺紋
寺紋は大久保藤。(写真参照。2019年調査)
リンク
- 徳川家康嫡男 松平信康公ゆかりの寺 小田原 風祭 曹洞宗 清瀧山 萬松院、最終更新2013年1月11日
- ヤスノリ「風祭を散歩しました」『サンポー』2020年3月12日
- 紋谷幹男「第1746回 万松院(ばんしょういん)曹洞宗/神奈川県小田原市風祭」『お宮、お寺を散歩しよう』2015年9月22日
参考資料
- 『風土記稿』
- 徳川家康嫡男 松平信康公ゆかりの寺 小田原 風祭 曹洞宗 清瀧山 萬松院、最終更新2013年1月11日
- 神奈川県土砂災害情報ポータル 区域図(41022 万松院沢) 区域図(41024 第3万松院沢)
- 2022年調査
- 小田原市文化部文化財課「天然記念物・勝福寺の大イチョウ 1樹」小田原市公式サイト、2022年9月27日