善栄寺 本堂善栄寺(ぜんえいじ)、如意山は、栢山にある曹洞宗の寺院。本尊は釈迦如来。創建の時期は不明で、開基は巴御前とされている。中興開基は北条氏康の室・瑞渓院で、境内にその墓がある。また境内に栢山出身の二宮尊徳の墓がある。江戸時代には大住郡日向村(海老名市日向)の石雲寺の末寺だった。(1)(2)
沿革
巴御前
寺伝では、開基は木曽義仲の妾だった巴御前とされている(1)。
『風土記稿』のとき、寺には法号:善栄寺如意貞信と記された位牌があった(1)。
寺宝の、天目茶碗1口と三具足(3つの道具、図を参照)は、巴御前が寄附したものといわれていた(1)。
2022年現在、境内の本堂前に、巴御前と木曽義仲の墓がある(2)。碑銘によると、1878年(明治11)に再建されたもの。
瑞渓院と宗忻
善栄寺は初め律宗の寺院で、のち臨済宗に改めたが、一時衰微し、天文23年(1554)に北条氏康の室(法号:瑞渓院光室宗照)が僧・宗忻に開山を頼んで再興し、そのとき曹洞宗に改宗した(1)(5)。寺には、宗忻が受領した綸旨2通があった(1)。
2022年現在、境内の墓地には、瑞渓院の墓がある(2)。
豊臣秀吉の制札
門塀に掲げられている豊臣秀吉の制札『風土記稿』のとき、寺には「相模国かやまの村善栄寺」と書かれた、天正18年(1590)の豊臣秀吉の制札1通があった(1)。
2022年現在、善栄寺の門塀に、この制札(の複製?)が掲げられている(写真)(2)。
江戸時代
天和2年(1682)7月に、栢山の領主・稲葉美濃守正則から、今まで通り、境内(20石1斗1升9合)を寄附する旨の証状を与えられた(1)。
二宮金次郎
善栄寺は二宮金次郎を輩出した二宮家の菩提寺で、金次郎在世中には、二宮本家の復興仕法や法事に関連して、小田原を離れていた金次郎との間で書簡のやり取りがあった(6:5-6)。弘化2年(1845)に落雷による火災で堂宇が全焼した際には、金次郎が「日掛け縄索」による「積小為大論」を説いて、10ヵ年計画の再建策を立て、弘化5年(1848)1月に庫裡(6:59-60)、嘉永2年(1849)に二宮一族の墓所(6:65-86)、安政2年(1855)春に本堂が再建された(6:104-105)。金次郎は没後、栃木県日光市今市の星顕山如来寺に葬られたが(1)、遺族が遺髪と遺歯を持ち帰り、善永寺に埋葬した(6:111-112)。
2022年現在、境内の墓地に二宮尊徳の墓があり、また本堂前に二宮金次郎(尊徳)「少年勉学の像」が建てられている(2)。
境内
1970年当時、境内は813坪(約51.8m四方)、建物は本堂63坪(約14.4m四方)、庫裡65坪(約14.7m四方)、山門、弁天堂(5)。
山門
弁天堂
境内に弁天堂があった(2)(5)。2022年現在、工事中(2)。
鐘楼
『風土記稿』には、本堂の軒に、宝暦13年(1763)に再鋳造された鐘が掛かっていた、とある(1)。
2022年現在、境内には鐘楼がある。基礎の銘板によると1970年(昭和45)の竣工。また鐘銘によると梵鐘は1968年(昭和43)に高岡市の老子次右衛門が鋳造したもの。(2)
開山堂
『風土記稿』のとき、境内に開山堂があった(1)。
肉身稲荷
『風土記稿』のとき、境内には肉身稲荷と称する稲荷社があった(1)。
六地蔵
2022年現在、境内に六地蔵がある(2)。
報徳保育園
2022年現在、境内に報徳保育園の入り口がある(2)。
年中行事
二宮尊徳の追悼行事
詳細は、二宮尊徳の墓#追悼行事を参照。
だるま市
2017年、2019年-2021年の12月20日にだるま市が開催されている(3)(4)。2017年時点で、50年以上前(1967年以前)に弁天堂の再建を記念して始められたという(3)。
寺紋
善栄寺 山門の寺紋(三つ巴・三つ鱗)寺紋は三つ巴と三つ鱗(写真参照)(2)。
リンク
- 二宮金次郎像 各地の金次郎像 神奈川県小田原市 善栄寺、最終更新日2018年2月24日
- しん「二宮金次郎(二宮尊徳) の墓、善栄寺を訪ねて、報徳の心を知る」ロマン旅、作成日2021年10月25日、最終更新日2022年2月22日
- 小田原市経済部観光課「善栄寺(尊徳一族墓所)」小田原市公式サイト、最終更新日:2021年12月23日
参考資料
- 『風土記稿』
- 2022年調査
- 「関東一早い飯泉観音「だるま市」ほか小田原市内4寺院で年末の風物詩」レアリア、2017年12月20日
-
ありがとう連絡会
- 今年の締めくくりと新年の祈願に「だるま市」に出かけませんか? 2018年12月12日
- 小田原・足柄地域の「だるま市」に出かけよう! 2019年12月9日
- 小田原・足柄地域 2020年の「だるま市」は? 2020年12月10日
- いよいよ年末!小田原・あしがらエリアの「だるま市」 2021年12月6日
- 全日本仏教会寺院名鑑刊行会『〈改定版〉全国寺院名鑑 北海道/東北・関東編』同左、1970年3月(初版1969年3月)、p.421
- 二宮康裕『二宮金次郎と善栄寺』(株)スポーツプラザ報徳、2015。コロンに続けて頁番号を記した。
Pages tagged “善栄寺”