宝泉寺 山門宝泉寺(ほうせんじ)、永禄山は、風祭にある臨済宗大徳寺派寺院。本尊は釈迦如来。開山は、箱根湯本早雲寺2世・大室宗碩(3)(勅諡:東光智灯禅師、永禄3年・1560没)で、永禄年間(1558-1570)の創建。開基は北条時長(法号:宝泉寺大年用公、永禄3年(1560)7月20日没)。江戸時代は早雲寺の末寺だった。(1)

沿革

宝泉寺 本堂間宮永好『箱根七湯誌』(の福住家本や相州宗貞『早雲寺誌』)にみえる早雲寺の古記録によると、宝泉寺は大室宗碩の開基(開山)で、上杉輝虎の小田原攻めの兵火の後、早雲寺8世・梅隠宗香によって再建された(3)(4)

小田原合戦後北条氏が滅亡した後、梅隠和尚の嗣法の弟子で、(早雲寺の?)平僧だった菊径宗存(寛永4年・1627没)は、早雲寺の開山の影像や勅願の綸旨、北条家の位牌などを持って、宝泉寺の寺領があった武州・箕輪の奥へ逃れて閑居した。(3)(4)

その後、時節を見計らって、宝泉寺の旧跡を取立て、古い井戸の跡を掘って、埋めて置いた什物や撞鐘、唐物などを掘り出し、これらを売り払って宝泉寺を再建(3)(4)

更に早雲寺の旧跡を取立てて、山の中に焼け残っていた小屋に移り、仏像や開山の像、北条家の位牌を置いてここに居住し、早雲寺を再建した、とされている(3)(4)

什宝

宝泉寺文書

宝泉寺は、天正18年(1590)の小田原合戦のとき、堂宇と多くの什宝を焼失したが、古文書2点が残されており、1978年に小田原市の文化財に指定されている(2)

  1. 後北条氏が宝泉寺に与えた禁制状。寺の取締りを保証したもの。
  2. 寺領図(絵図)。元亀3年(1572)卯月(4月)12日の北条幻庵の裏書きがあるもの。

北条時長像

宝泉寺が所蔵している開基・北条時長の肖像画は、室町時代に描かれた後北条氏一族の肖像画は希少価値が高いとして、2019年2月に市の有形文化財に指定された(6)(9)(10)。通常は非公開で、年に1度、4月22日(開山忌)に一般公開している(市の公式サイトに画像あり)。(6)

境内

観音堂

宝泉寺の門前にあり、如意輪観音が安置されていた(1)

北条時長の墓

北条時長の墓境内の墓地に開基・北条時長の墓がある(写真参照、2022年調査)。碑表の写し:宝泉寺殿大年用公大禅定門 神儀

土砂災害特別警戒区域

宝泉寺の境内の一部を含む風祭16-1の区域(206-H26-368 風祭16-1)は、神奈川県の土砂災害特別警戒区域(急傾斜)に指定されている(2021年3月19日 告示第150号)(11)

行事

宝風会

2019年5月18日に宝泉寺でチャリティー・イベント「宝風会」が開催された。参加費1,000円。アマーロフラウトが本堂をステージにしてフルート演奏を披露した。東日本大震災や熊本地震の被災地支援のために始められた企画で2019年が6回目。(5)(8)

コスプレ撮影

宝泉寺は、コスプレロケ地の検索・予約サービス「アコロケ」にロケ地として登録されており、「歴史ある建造物でのコスプレ撮影」が可能となっている。9-17時全日で利用人数1名につき3,000円、2-6名/1組まで。(7)

寺紋

宝泉寺 山門屋根 棟飾りの寺紋(丸に三つ鱗寺紋は三つ鱗丸に三つ鱗。屋根などにふんだんにあしらわれている。(2019年調査)

リンク

参考資料

  1. 風土記稿
  2. 小田原市文化部文化財課「古文書・宝泉寺文書」小田原市公式サイト、2013年5月31日
  3. 岩崎正純「江戸時代の早雲寺 その断絶と再建過程」『三浦古文化』No.17、1975年5月、pp.27-42
  4. 間宮永好『箱根七湯誌』国立国会図書館本 上巻 コマ50
  5. 本堂に響く幽玄な調べ 宝泉寺タウンニュース 小田原・箱根・湯河原・真鶴版、2019年5月1日
  6. 年に一度のお披露目 宝泉寺の北条時長像」タウンニュース 小田原・箱根・湯河原・真鶴版、2019年4月20日
  7. アコロケ > ロケーション > 永禄山寳泉寺、更新時期不明、arc.
  8. 小田原の宝泉寺で「寳風会」フルート演奏でチャリティコンサート」レアリア、2019年5月7日
  9. 小田原市文化部文化財課文化財係「市指定重要文化財の新規指定について」小田原市公式サイト、最終更新 2019年3月8日
  10. 小田原市文化部文化財課「絵画・絹本著色 北条時長像」小田原市公式サイト、最終更新 2019年3月6日
  11. 神奈川県土砂災害情報ポータル 区域図