岩泉寺(がんせんじ)、巨岳山は、根府川にある曹洞宗の寺院。本尊は正観音。慶長9年(1604)の創建。開山は早川・海蔵寺13世の僧・通国門泰(寛永3年・1626没)。開基は、根府川村の旧家・(広井)長十郎の家系図によると、同家の祖先・広井長十郎重次で、元和7年(1621)のこととされていた。江戸時代には海蔵寺の末寺だった。(1)
本尊
本尊の正観音像には、像高3寸5分(10.6cm)の腹籠の像があり、恵心の作と伝えられていた(1)。
沿革
岩泉寺はもともと海辺にあったが、万治2年(1659)の洪水のときに流失し、同5年(1662)に現在の位置に移転した(1)。
- 広井長十郎の家系図に、重次の孫・左衛門重光のとき、自身の所有地を寄進してそこに移転したと記してあった(1)。
境内
大震災殃死者供養塔
本堂南側崖下の墓地に、(関東)大震災殃死者供養塔があった(3)。
地蔵堂
岩泉寺は、根府川村の地蔵堂を管理していた。本尊の延命地蔵は、像高1尺5寸(45.5cm)で、弘法大師の作とされていた(1)。
釈迦堂
2021年現在、万治年間(1658-1661)の移転以前の旧境内(白糸川沿いの白糸川橋梁の下あたり)に釈迦堂がある(2)。
寺紋
リンク
- 神奈川県くらし安全防災局防災部危機管理防災課「曹洞宗岩泉寺(小田原市根府川)」神奈川県ウェブサイト、2023年8月25日初期公開、2023年9月11日更新
- 大佗坊「小田原根府川 岩泉寺」大佗坊の在目在口、2021年8月11日
- 井上公夫・相原延光・森慎一・山口珠美「関東大震災による小田原市根府川・白糸川の土砂災害」古今書院『地理』Vol.61 No.11、2016年11月、pp.6-8, 90-97
- カナロコ「関東大震災、山津波の痕跡 今も/小田原」神奈川新聞、2013年8月3日
参考資料
- 『風土記稿』
- 蒲田文雄「小田原市根府川 --- 山津波と殃死者供養塔 ---」『テーマ:地形地質、地震防災、災害など』最終更新 2021年7月30日
- 2022年調査