月影杏葉(つきかげぎょうよう)は、浄土宗の宗紋。1915年(大正4)に教令で宗紋が規定されており、素描きの紋章の図柄としては「月輪に抱き花杏葉紋」である。蕊(しべ)が7つある花を描き入れた抱き杏葉紋を月輪(つきわ)で囲む意匠となっている。
抱き杏葉
抱き杏葉(だきぎょうよう)のモチーフとなっている「杏葉」は、杏の葉そのものではなく、木の葉のような形にした革や金属に文様を描いて重ね合わせ、馬の胸飾りや尻飾りにしたもの。
抱き花杏葉
抱き花杏葉(だきはなぎょうよう)は抱き杏葉に蕊(しべ)を書き入れた紋で、蕊の本数は本来不定。
抱き茗荷
抱き茗荷紋(だきみょうが)は抱き杏葉と似ているが、各葉の中に葉先で1点にまとまる3本の葉脈が描かれており、また輪がなくても全体として真円に近い形となっている点が杏葉紋と異なる。
使用実態
実際に浄土宗の寺院が使用している宗紋は、
- 抱き茗荷
- 抱き杏葉
- 抱き花杏葉
- 月影杏葉
や、これに類した地抜き紋(素描きを白黒反転させた紋)などが混在している(詳細は参考資料を参照)。
このため、浄土宗の寺院だからといって「月影杏葉を使っている」という先入観をもってみるのは禁物である。
参考資料
順雲山光照院普仙寺「浄土宗宗紋の問題点(1)-混乱の現状とその原因-」平成15年度浄土宗総合学術大会紀要/佛教論叢第47号