稲荷社旧址(いなりしゃきゅうし)は、鴨宮にあった稲荷社の跡地。旧所在地は現在確認中。
『風土記稿』のとき、鴨宮村には村持ちの稲荷社があり、社地には周囲6尺2寸(約1.9m)の「びんとう樹」が生えていた(1)。この「びんとう樹」がどのような木かよく分からない。鴨宮の光照寺にはヒイラギ(柊)があり「柊樹(とうじゅ)」と読めなくもない。或いは檳榔樹(びんろうじゅ)のことかと思うが、翻刻誤りではない。
また『風土記稿』のとき、鴨宮村には浄土宗の寺院・東照寺があり、山号を「稲荷山」といった(2)。上記のとおり、『風土記稿』のとき、稲荷社は村持ちとなっていたが(2)、それ以前に東照寺が稲荷社の別当寺をしていた可能性がある。
さんわ会2000によると、鴨宮の加茂神社の境内社・佐軍神の文政3年(1820)当時の所在地は「鴨宮字稲荷森875番地」だったという(3)。「稲荷森」の字名からして、同地に稲荷社があった可能性がある。ただし、「字稲荷森875番地」は稲荷社ではなく石神社とその別当寺・寿明院の旧地と考えられる。
2016年当時、鴨宮の光照寺の境内には、稲荷神社があった(4)。
参考資料
- 『風土記稿』成田庄 鴨宮村 稲荷社
- 『風土記稿』成田庄 鴨宮村 東照寺
- さんわ会2000:さんわ会25周年記念誌編集委員会『下府中地域 我が町の今と昔』さんわ会、2000、59頁
- 浄土宗 光照寺ウェブサイト(現存しない)、2016年4月5日のアーカイブ