量覚院(りょうがくいん)、秋葉山(5)(『風土記稿』「大徳山秋葉寺」(1))は、板橋にある本山修験宗の寺院。本尊は秋葉大権現・大聖歓喜天(5)。開山は一月坊竺禅(慶長3年・1598没)(1)。江戸時代には秋葉山神社の別当寺で、小田原・玉瀧坊霞下、板橋の浅間社を管理していた。(1)
本尊・什宝
本尊は、『風土記稿』には不動明王とあり、別に境内に秋葉社があって、本地正観音も安置されていたとあるが(1)、『全国寺院名鑑』では、本尊は秋葉大権現・大聖歓喜天とされている(5)。
同書によると、寺宝に不動明王像3体(それぞれ伝円仁・奈良期役行者・円空作)がある(5)。他寺宝に、伝円空作の薬師如来像など(5)。
沿革
『全国寺院名鑑』には、養老年間(717-724)の開創で越の大徳泰澄大師の開基云々とあるが(5)、『風土記稿』によると、秋葉社はその縁起によると、代々遠江国の秋葉山三尺坊権現を信仰していた大久保氏が、小田原城主となった後、慶長元年(1596)に勧請したもの。(1)
1962年(昭和37)、修験宗本庁を京都から移し、1970年(昭和45)当時に至る、とされている(5)。
境内
1970年当時、境内は2,000坪(1坪=3.3m2、約81m四方)(5)。うち、
- 本堂(社殿)30坪(同、約10m四方)、
- 庫裡100坪(同、約18m四方)、
- 神楽殿25坪(同、約9m四方)、
- 修験宗事務所15坪(同、約7m四方)(5)。
クレヨンの森保育園
1970年当時、光明保育園ほか社会福祉事業を展開(5)。
2019年現在、境内はクレヨンの森保育園の園庭になっている(2)。
松の木
『風土記稿』の頃、社地に周囲1丈5尺(約4.5m)の古い松の木があった(1)。
土砂災害警戒区域
量覚院を含む第2板橋沢の区域(41025 第2板橋沢)は、神奈川県の土砂災害警戒区域(土石流)に指定されている(2012年5月8日 告示第289号)(4)。
年中行事
例祭
秋葉山神社の例祭は11月16日(1)。
火防祭
例年12月6日に火祭りないし火防祭(ひぶせまつり)を開催している(3)(5)。
- 1970年頃は「修験道秘事秋葉山火祭り」と称していた(5)。
- 2019年以前、火伏せ(火災防止)や無病息災を願う「火防祭」と称しており、例年同日15:00-20:00に開催、19:00から火渡りが行われていた(3)。YouTubeに2019年、2018年、2013年、2010年の火防祭の動画が投稿されている。
- 2020年・2021年はコロナの感染拡大防止のため開催が中止された(3)。
寺紋
リンク
- 著者不明「秋葉山神社 (小田原)」『何気ない風景とひとり言』、2016年11月16日
- カナロコ「「電力王」松永耳庵にちなむ茶席や講演 小田原で3日「いたばし見聞楽」」神奈川新聞、2014年11月1日
- さと「小田原の 南谷山 香林寺 と 秋葉山 量覚院に行きました。 ②」『さと★ao★のブログ』2014年1月27日
- yummy21「小田原市板橋 秋葉山量覚院 紅葉」小田原な日々、2012年12月6日
- 編集子「3 秋葉山量覚院 ―小田原市」茅ヶ崎郷土会、2018年1月28日
-
カナロコ「けがれ焼き払う「秋葉山火防(ひぶせ)祭」/神奈川新聞(カナロコ)」YouTube、2010年12月7日
- 「量覚院。遠江秋葉神社の秋葉大権現を奉遷」『猫の足あと』更新時期不明
参考資料
- 『風土記稿』
- 2019年調査
- 小田原市経済部観光課「【中止】秋葉山火防祭(毎年12月6日)」小田原市公式サイト、最終更新 2021年10月29日、arc. 2021年2月21日
- 神奈川県土砂災害情報ポータル 区域図
- 全日本仏教会寺院名鑑刊行会『〈改定版〉全国寺院名鑑 北海道/東北・関東編』同左、1970年3月(初版1969年3月)、p.418