長興山のシダレザクラ(ちょうこうざんのシダレザクラ)は、入生田・紹太寺(長興山)の境内にあるシダレザクラの木(1)。2007年当時、胸高の幹周り4.66m(2)。稲葉氏が紹太寺を建立した頃(寛永12年・1635ないし寛文9年・1669頃(4))に境内に植えられたものと推測されている(1)。
枝を八方に広げたシダレザクラの基本的な形を整えており、緑の樹叢を背景に開花する姿が美しく、「県下にも比類ない名木」として、1957年(昭和32)に市の天然記念物に指定された(1)。1984年(昭和59)に神奈川県によって「かながわ名木100選」に選定されている(2)。
2007年(平成19)7月に日本樹医会神奈川県支部による「かながわ名木100選」選定樹木の診断調査が行われており、そのときの調査票によると、小枯枝が目立ち、幹にコスカシバの虫害があり、また地際の空洞部にコフキサルノキシカケが発生しているなどの被害がある。樹勢が幾分影響を受けているが、あまり目立たない程度で、樹形に若干乱れがあるが、自然樹形に近い、とされている。周囲の樹林の除去などで通気をよくし、また花付きをよくするために有機肥料を施す必要がある、と評価されている。市の助成を受けて下草取りや病虫害対策が行われている。(2)
主な計測値
調査 年 |
樹齢 (年) |
樹高 (m) |
幹周 (m) |
枝張 (m) |
資料 |
1957 | ― | 約13.0 |
目通り3.8 株元約4.7 |
東西12 南北13 |
(1) |
2007 | 320 | 12.7 |
胸高4.66 根元8.0 |
東西17.4 南北19.6 |
(2) |
刻銘石「松蘿圃」
シダレザクラの東南側の根元に「松蘿圃」と彫られた巨石がある(5)。小田原市教育委員会の現地案内板によると、「松蘿」は松にさがった蔓、または茶の意味で、紹太寺の衆僧によって付近に野菜畑か茶畑が拓かれていたのではないか、とのこと(6)。
クローン桜
2013年2月に、紹太寺から小田原市に、住友林業が技術開発した組織培養による「長興山のシダレザクラ」のクローン桜が寄贈され、市がわんぱくらんどに植樹することになって、同所で植樹式が行われた。紹太寺にも植樹の予定とされている。(3)
リンク
- 散策同好会「長興山紹太寺で神奈川県有数のしだれ桜を見てきました。」『散策同好会 旅の軌跡と備忘録』作成 2020年11月19日、最終更新 2021年4月30日
- 「樹齢340年、滝のように咲き乱れる小田原・長興山しだれ桜」レアリア、2018年4月23日
- #長興山紹太寺
参考資料
- 小田原市文化部文化財課「天然記念物 ・長興山の枝垂桜」小田原市公式サイト、2011年7月6日
- 日本樹医会神奈川県支部 かながわ名木100選(2007・平成19年12月の報告書)概況調査票 No.78 長興寺のシダレザクラ(pdf)
- 小田原市文化部文化財課「記者発表 資料 紹太寺から長興山枝垂桜のクローンを市に寄贈」小田原市公式サイト、2013年2月7日
- 『風土記稿』入生田村 紹太寺
- 2022年調査
- 小田原市教育委員会「刻銘石「松蘿圃」」現地案内板、設置時期不明